ダニーデンの野生動物病院(ワイルドライフ・ホスピタル)でカカポに会った話

 

今年2019年は、絶滅に瀕した飛べないオウム・カカポにとって大きな1年でした。

カカポの繁殖を促すと考えられているリムが豊作だったことに加え、自然保護省のカカポチームが大胆な保護策を取ったため、卵が252個生まれ、そのうちヒナ86羽が孵りました。

しかし、アスペルギルス菌というどこにでもある菌による病気が流行し、成鳥もヒナも命を落とすものが続出しました。

大変なプレッシャーの中で保護を続けるカカポチームを支えたのが、NZ全国の野生動物病院です。ヒナの人工飼、怪我などをしたカカポの治療、アスペルギルス症の治療など、今年1年間、普段の患者に加えての「VIP患者」の世話で大忙し。

私の住むダニーデンでは、2018年に野生動物病院(Dunedin Wildlife Hospital)ができたばかりでした。そして、その院長のリサ・アルギラさんが、長年カカポの保護にも関わっていたことから、たくさんのカカポがダニーデンにやってきました。

そして、私も1度だけですが、ダニーデンの野生動物病院でカカポに面会することができました。

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Kia Ora!  うちだいずみです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ、今回は、私が今年の前半にダニーデンの野生動物病院を訪ねたときのお話です。

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野生動物病院を訪ねるまで

まず、どういう経緯で、私が野生動物病院を訪ねることができたのかをお話しましょう。

私は、ダニーデンで毎年秋に開かれている自然フェスティバル「Wild Dunedin – Festival of Nature」インスタグラムFacebookでのプロモーションや取材、写真提供のお手伝いをしています。

そこで、昨年2018年に野生動物病院が出来て間もなく、フェスティバルのニュースレターに記事を書きたいと思い、取材を申し込んでいたのです。

しかし、病院はできたばかりで忙しく、そのときは取材できませんでした。

2018年冬(6月ごろ?)にまた取材を申し込んだところ、「今は患者があまりいないから、春になるまで待っていた方がいい記事がかけると思う」と言われます。

そこで年末にまた連絡をとったのですが、病院側とタイミングがなかなか合いませんでした。

まあ、そのうちに時間を取ってくれるだろう、と思ってのんびりしていたら、カカポのヒナが次々とダニーデン入りするというニュースが飛び込んで来ました。

https://twitter.com/docgovtnz/status/1095061172204769285

「え、カカポが来るの!?」

長年、カカポを追ってきた私は大変驚きましたが、同時に「こりゃ取材はしばらくダメだ」と即座に分かりました。カカポの保護は、本当に厳密に行われているので、ちっとやそっとでは取材はできないのです。邪魔になってしまいますからね。

私はカカポチームのアンドリュー・ディグビー博士のインスタグラムを追い続け、「カカポがいっぱいダニーデンに来てる!」と思い、どんな治療をしてるのかなあ、と想像していたのです。

 

そんな6月のある日、急に野生動物病院から連絡が来ました。「長い間待たせてごめん。来週なら、来ても良い」というのです! ホントに!?

とはいえ、カカポに会えるということは考えないでいよう、と思いました。なぜならば、アスペルギルス症で入院しているヒナに一般人を会わせるとは考えられなかったからです。

あくまでも、病院の取材をして、患者である他の動物にちょっとでも会えればそれで十分、カカポがいる場所を見られればそれだけで嬉しい、と思っていました。

そうして、当日がやってきました。

レアなTシャツでご挨拶

ダニーデンの野生動物病院は、オタゴ・ポリテクニック(Otabo Polytechnic 専門学校)の獣看護師学科(School of Veterinary Nursing)の一隅にあります。私は、実はもっと郊外の秘密のところにあるのではないか、と思っていたので、ちょっとびっくりしました。

受付で名前を告げると、野生動物病院の理事長であるスティーブ・ウォーカーさん(現ダニーデン市議を兼任)が迎えに来てくれました。

「いらっしゃい。今日は、アスペルギルス症のヒナのところは立ち入り禁止なんだけど、他のヒナが2羽いるから」

え! 会わせてくれるんだ! 私は日々カカポの動きを追っていたので、

「本当に! ありがとうございます! ということは、脳外科手術をしたエスペランス1Bと足の治療中のクィニー3Aですか!?」

「君、僕より詳しいね(笑)。そんな名前のヒナたちだったと思うよ」

それから、獣医であり院長であるリサさんたちのスタッフルームに行くと、ちょうどその日はクィニー3Aちゃんのお誕生日で、みんなでお祝いしていました。

そこで見学の前にみなさんにご挨拶をしたのですが、「この人はカカポのことを前から知ってるんだな」と思ってもらえたようでした。なぜかというと、私はレアな「コッドフィッシュ島Tシャツ」を着ていたのです。

 

私は、過去に2回、自然保護区コッドフィッシュ(フェヌアホウ)島にカカポのボランティアとして数週間筒滞在したことがあるのですが、このTシャツはボランティアしか入手できないTシャツだったからです。着ていって良かった・・・。

そして、いよいよカカポのいる部屋へ向かいます。

仲良しのヒナ2羽は元気に動き回っていた

この時の訪問の様子は、こちらのWild Dunedin Newsletterから転載OKをいただきましたので、翻訳記事でご紹介します。

ダニーデン野生動物病院の特別な入院患者、カカポのエスピー

ダニーデン野生動物病院の鍵のかかったドア、オフィス、手術室、暗い廊下を抜けていくと、カカポのヒナの優しいグーグーいう声が私を迎えてくれました。エスペランス1B、あるいはエスピーと呼ばれているこのヒナは、世界で初めて脳外科手術を受けた鳥です。エスピーは頭頂骨が閉じずに穴が開いていましたが、自分自身の骨髄に浸した人工素材のメッシュでそこを塞がれました。

エスピーは元気でおしゃべりなメスのヒナで、はげていた頭も新しく生えてきた羽でほとんどが覆われていました。エスピーは、長い間世話してくれている病院のスタッフともとても仲良しです。

野生動物病院はオープンしてから17ヶ月が経ちましたが、この夏は、カカポの大繁殖期を迎えたために、予想をはるかに超えた忙しさとなりました。

2019年は、カカポ保護プログラムにとって最大の年となりました。

生まれた卵は252個、そのうちヒナ86羽が孵りました。

死んだヒナもいますが、72羽がまだ生き残っています(注:この記事を書いたあと、さらに数羽が死んでいます)。

卵の数を最大に増やすため、自然保護省のカカポチームは、すべての卵を巣から出し、人工孵化することにしました。巣から卵がなくなると、母鳥の多くは再び巣を作り、2回目の産卵をします。つまり、倍の数が見込めるのです。

一方、生まれたヒナたちは短期間人工飼育されたのちに、養母となるメス(無精卵などが原因で自分のヒナを残せなかった鳥)のところか、あるいは実の親であるメスのところに移されます。

これが、ダニーデン野生動物病院にとって、最初の大変な時期でした。一番多いときには25羽ものヒナを一度に世話しなくてはならなかったのです! その中には、とても小さなヒナもいましたし、何らかの理由で体調の悪いヒナもいました。

世界的にも尊敬されている獣医であるリサ・アルギラさんと、病院の理事長であるスティーブ・ウォーカーさんに率いられた4人のスタッフと100人を超すボランティアが、毎日ほぼ24時間、休みなしに大事なカカポのヒナたちに餌をやり、チェックし、治療し、愛情を注いだのです。それぞれのヒナには、個別の注意が必要でした。

カカポは、これまでに病院が治療してきた52種類の動物たちの中の、たった1種にすぎません。カカポの世話でハードな毎日が続くところへ、キンメペンギンや希少なトコエカ・キウイからちっぽけなメジロまで、病気や怪我をした動物たちがみな病院へやってくるのです。

4月後半、カカポのヒナたちが大きくなり、島の故郷へ向けて旅立っていって、もうそろそろ狂騒的な忙しさは終わりそうというときに、新たな危機が訪れました。

カカポの住む島のひとつであるフェヌアホウ島で、アスペルギルス症の流行がはじまったのです。アスペルギルス症とは真菌感染が原因で起こるもので、普通はカカポに影響を与えることはないのです。しかし、この年すでに、成鳥2羽とヒナ3羽、合計5羽がこれを原因として命を落としていました。さらに少なくとも8羽の鳥が、感染を確認されています。

鳥たちの大移動が再びはじまりました。フェヌアホウ島に住むメスの成鳥の殆どとヒナが感染しているかどうかを調べるためです。感染を確認するためにはCTスキャンを使わなくてはならず、大変な手順を踏まなくてはならないため、これは全国から総力戦で立ち向かわなくてはならなくなりました。オークランド動物園、パーマストン・ノースにあるマッセイ大学、クライストチャーチのワイルドベース病院、ウェリントン動物園、インバカーギルの自然保護省とダニーデン野生動物病院は、一丸となってカカポチームとともに治療に当たりました。

ダニーデン野生動物病院は、私が尋ねたときには13羽のカカポの世話をしていました。そのうちの11羽は、アスペルギルス症の検査をするために入院していたのです。私はこのヒナたちにはもちろん会うことはありませんでしたが、2羽の可愛いヒナ、エスペランス1Bとクィニー3Aに面会することができました。

クィニー3Aは生まれてすぐのときに怪我をしたため、足がねじれてしまいましたが、手術によってまっすぐに直してもらっていました。

この2羽のヒナは両方ともメスで、大の仲良しでした。いつも一緒にいて、遊んでいます。カカポは群れをなさない鳥ですが、ヒナの時には、一緒にいるのが大好きです。

野生動物病院のスタッフが負った仕事量のすごさは想像もできないほどですが、私が最も驚いたのは、政府から(自然保護省)からの資金が一切出ていなかったということです。スタッフとボランティアは、動物たちの世話をするために、歯を食いしばって頑張ったのです。でも、動物たちが困っていたら、他にどうしようもないですよね?

ダニーデン野生動物病院は、地域的にも、全国的にも、また世界的にも、本当に価値のある存在だということを示してきました。私も、その将来を応援したいと思います。

もしも、これを読んでいる方の中にも寄付やボランティアとして応援したいという方がいましたら、こちらのサイトをご覧ください。

ダニーデン野生動物病院、本当にありがとう!

https://www.wildlifehospitaldunedin.org.nz/donate

最後になりますが、ちょっぴり動画もご紹介しますね。私のインスタグラムのストーリーにも、別動画をあげていますので(短いですが!)、良かったらご覧ください。

いつもありがとうございます。Ka kite ano! (See you again!)

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