ニュージーランドの野生動物を守れ! TVシリーズ 『Wildlife Rescue (第1回)』徹底解説・キンメペンギン編

キンメペンギン、ブルーペンギン、キウイ、ロイヤルアルバトロス、ニュージーランドオットセイ、ニュージーランドアシカ・・・。

ニュージーランドには希少な野生動物がたくさんいますが、特に南島の小都市ダニーデンは、「ニュージーランドの野生動物の首都」(ワイルドライフ・キャピタル)と言われ、大自然や珍しい動物たちに出会える場所です。

しかし、動物たちの暮らしの中には危険がいっぱい。怪我や病気にかかる野生動物があとを断ちません。

そんな野生動物を守るのが、ダニーデン野生動物病院(ワイルドライフ・ホスピタル)を中心とした沢山の団体からなる野生動物保護ネットワークです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ 72/1000

 

Kia Ora! うちだいずみです。

ニュージーラドの遊び方を1000個見つけるブログ、今回はTVシリーズ『Wildlife Rescue New Zealand』(ワイルドライフ・レスキュー・ニュージーランド)第1回目の放送内容を大解剖して、番組内に登場するダニーデンの野生動物保護ネットワークをさらに詳しくご紹介していきましょう。

“Wildlife Rescue”(ワイルドライフ・レスキュー)とは

先週日曜日(2019年11月17日)に始まった 『Wildlife Rescue New Zealand』(ワイルドライフ・レスキュー・ニュージーランド)は、ChoiceTVで放送される5回シリーズのドキュメンタリーです。

ニュージーランドでは、毎週日曜日午後7時半からという、まさにゴールデンタイムの放送! 見逃してしまった方も、こちらのリンクからしばらくは見られます。

しかし! ニュージーランド以外の方は見ることができないですよね。これ、本当に残念!

というのは、ニュージーランドの希少種が次から次へと登場し、滅多に見られない表情や暮らしぶり、そして保護の現状や、個性豊かなレンジャーが出てくる貴重な番組だからなのです。しかも、タイトルに「ニュージーランド」とついているように、ダニーデンばかりではなく、他の地域からも保護が必要な動物たちがやってきます。ニュージーランドの自然に興味がある方には、ぜひ知ってもらいたい内容なのです。

そこで、番組を制作したNHNZ社に頼んで、番組の紹介をさせてもらうことにしました!

実は、ダニーデン野生動物病院には、世界各国から取材の申し込みが殺到していましたが、ダニーデンに本拠を置くNHNZ社が最終的に選ばれ、政府系機関 NZ On Air から補助金を得て、長い時間をかけてじっくり番組を作ってきたそうです。密着、というのがまさにぴったりです。

ということで、ここから先は番組の内容をご紹介しますので、まだ見ていない方は、先に番組を見てから読んでくださいね!

保護の中心は、ダニーデン野生動物病院

野生動物レスキューの中心となっているのは、ダニーデン野生動物病院(Dunedin Wildlife Hospital)です。

 

ダニーデン野生動物病院は、2018年1月15日にオープンしたばかりの新しい施設で、もともとニュージーランドに住んでいた原生動物のみを診る病院です。

この病院ができるまで、キウイやカカポのように絶滅に瀕した特別の動物は、北島やクライストチャーチの動物病院に運ばれていました。そして、その他のトラブルに見舞われた動物たちは、キンメペンギンの保護をしているペンギンプレイスや、ニュージーランドバトを世話するケレル・プロジェクトなどはあったものの、獣医にかかる機会がなかなかなかったのです。

 

この状態に心を痛めたのが、病院のディレクターであり、野生動物専門医であるリサ・アルギラさんです。

南アフリカ出身のリサさんは、3歳の時から「獣医になる」と決めていた動物好き。ニュージーランドのマッセイ大学で獣医の資格を取ったのち、キンメペンギンの研究、カカポチームへの参加など、野生動物の保護に情熱を傾けてきて、TVシリーズ『Wild Vets』(野生動物の獣医たち)にも登場しています。

2013年、希少な動物のたくさんいるダニーデンに病院が必要だと感じ、動きはじめます。

「病院を作るというのは、夢みたいなものだったけど、現実になったの」

リサさんの夢を応援したのは、オタゴ・ポリテクニック専門学校の獣医看護師科。この学校の敷地内に病院スペースを確保して、学生たちも実際に研修に参加できるようになったのです。

リサさんを支えるスタッフは、この3人。クールなインターン獣医師リジーさん、エネルギッシュで明るいシニア看護師のジーナさん、ほんわかしていてちょっと天然なコメントが可愛い看護師のエミリーさん。

 

この個性の違う4人が、素晴らしいチームワークと献身的な治療の様子を見せてくれます。

また来たの!? サメに何度も襲われてしまったキンメペンギン

番組内で最初に来院したのは、オタゴ半島のフーパーズ・インレット(Hooper’s Inlet)で発見された、サメに襲われたキンメペンギン。緊急に手術が必要な患者です。

ひどい傷! 腕にも怪我をしていたので、とりあえず包帯をして、麻酔をかけています。麻酔のおかげで意識がなくなって、今にも倒れそうです。

完全に意識がなくなったら、手術に入ります。痛々しいですね。

実はこのペンギン、すでに過去に2回、サメに襲われて運び込まれたことがあったのです。

「この子には、生命保険をかけてもらわないとね」(シニア看護師のジーナさん)

「ほんと、その通りだわ」(リサさん)

と、手術のときにはジョークが出るほど、顔なじみになっている運の悪い(しかし手術を受けられるから運のいい)ペンギン。クリスタル、と名前がつけられています。

今回、幸い傷は浅く(以前の傷はもっと深かったそうです)、命を取り止めました。キンメペンギンは、20年前に比べると、ニュージーランド本島では80%も数が減ってしまい、現在、世界でももっとも絶滅の危機に瀕しているペンギンです。このクリスタルが生き延びて、子孫を残してくれることは、キンメペンギンの未来にとって、とても大事なことなのです。

足の怪我? もっと大きな問題がありました

ペンギンを襲うのは、サメだけではありません。

 

足に怪我をしているとして運び込まれてきたキンメペンギン。とてもフレンドリーで、怪我をしているとは思えないほど元気いっぱいに歩き回ります。しかし、問題は足よりも他のところにありました。

翼に小さな傷があることに注目したリサさんが、X線を撮ってみたところ、上腕に当たるところの骨に影があります。最近オタゴ湾に増えている肉食魚、バラクーダに噛まれたところが感染症を起こしていたのです。しかも、両方の翼に炎症がありました。

このままにしておくと、急激に感染症が広がり、死に至る可能性もあります。こういう時は、初期のうちに抗生物質で感染を抑えなくてはなりません。

元気そうだけど、しばらくは入院が必要です。このペンギンは、バリーと名前がつけられました。

栄養が足りないキンメペンギンのヒナたち

夏はペンギンたちの繁殖の季節。しかし最近、ニュージーランド本島で繁殖しているキンメペンギンの多くが「栄養失調」と判断されています。

「特に今年は、雨が多く降ったので、水が濁ってしまって、親鳥が餌をなかなか探すことができないの」(ジーナさん)

 

番組に登場したキンメペンギンのヒナたちは、ダニーデンの南にあるカトリンズ地方から連れて来られました。食べ方もまだよく分かっていないので、自分で食べられるようになるまで、1羽1羽、毎食、口の中に魚を押し込んで食べさせなくてはなりません。大変ですね!

 

 

そして、「食べたものは、出てくる」のですから、病院ではタオルなどを毎日大量に洗濯しなくてはなりません。

 

オタゴ半島のペンギン・プレイスでリハビリテーション

ダニーデンの野生動物病院には、あまりスペースがありません。なので、治療を終えたり、生命の危機を脱した動物たちは、他の施設へ移っていきます。

オタゴ半島にあるペンギン・プレイスは、個人の農場で自然保護をしつつ、エコツアーで観光客も野生動物に会えるようにするというスタイルのビジネスをはじめた先駆的なところ。

特に現在は、キンメペンギン、フィヨルドランドペンギン、ブルーペンギンなど、年間数多くのペンギンたちのリハビリセンターとして重要な役割を担っています。病院暮らしを卒業したヒナたちもやってきました。

 

初めての場所に、ヒナたちはおそるおそる、足を踏み出します。ペンギン・プレイスには、大人のペンギンたちもいて、いじめられる可能性もあるので、ヒナはヒナだけの柵の中で暮らします。

 

 

リハビリテーションのマネージャーであるメーガンさんが、優しく迎えてくれます。ここで与える魚は、サーモンと白身魚(トウゴロウイワシの仲間、Silverside)のミックス。サーモンはヒナを太らせるのには良い栄養たっぷりな魚なのですが、これだけだと油が強すぎるということです。

 

 

たくさんのペンギンがいるので、お掃除も欠かせません。お掃除の間は、柵の外で待っていてくださいね!

 

 

暑い日には、スプリンクラーで体を冷やしてもらいます。プールもあるんですが、お掃除のために2日に1回は水を抜くので、スプリンクラーはとても大事。気持ち良さそう!

 

 

ペンギン・プレイスでも、たくさんのスタッフとボランティアが忙しく働いています。スタッフのエイドリアンさんによると、

「ここで8kgになるまで体を肥やしてもらうんだよ」

 

 

海で生き延びるためには、十分な脂肪を蓄えることが大事なんですね。魚は養殖業者が提供してくれているとのこと、いろいろな人たちのおかげで、ペンギンたちの毎日が支えられています。

 

 

そして、翼に感染症があったバリー君もペンギン・プレイスでリハビリ中。噛まれた傷跡もはっきり見えますが、すっかり元気になりました! よかった!

 

そして、海へ還る

ペンギン・プレイスで世話を受けたペンギンたちの9割は、やがて海へと戻ります。ペンギン・プレイスは50haの敷地内に広い海岸線が広がっており、この近くで保護されたペンギンたちを敷地内で戻すこともあります。

十分に体重が増えたペンギンたちを海へ返す日がやってきました。

 

 

キンメペンギンは集団を作るペンギンではありません。単独、あるいはペアで、潅木の下などにねぐらを作って暮らします。

そこで、海辺の近くの木立に放します。

 

ペンギンたちは、やがて海に出ていきます。

現在、ニュージーランド本島に700羽ほどしか残っていないキンメペンギン。このままでは、2060年ごろには、本島から絶滅するとも言われています(亜南極の島々に住んでいるキンメペンギンもいますが、こちらの鳥たちも多いとは言えません)。1羽1羽が、種の存続のために大事な鳥たちなのです。

『Wildlife Rescue New Zealand』第1回目には、希少なキウイやニュージーランドアシカなども登場しています。次の記事でまたご紹介しますね。

それではまた! Ka kite ano! (See you again!)

【こちらも読む】

ダニーデンの野生動物病院(ワイルドライフ・ホスピタル)でカカポに会った話

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