ニュージーランドで絶滅の危機に瀕した飛べないオウム・カカポ。世界でたった147羽しかいないこの鳥は、数年に一度しか繁殖せず、保護していてもなかなか数が増えないのです。
しかし、今年は記録的な大繁殖! なんと2019年4月22日現在で77羽ものヒナが育っています! 全個体数の150%増となり、世界的に大注目を集めています。
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ヒナなんと77羽! 2019年カカポの大繁殖、その記録を総まとめ
絶滅の危機に瀕した飛べないオウム・カカポの貴重なヒナに会った! 2019年夏。ニュージーランドの飛べないオウム・カカポが大繁殖中!
絶滅に瀕した世界一重いオウム・カカポの最新情報はここで分かる!
ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ 57/1000
Kia Ora! うちだいずみです。
ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ、57個めの今回は、2019年のカカポの繁殖期がどれだけ凄かったのか、自然保護庁カカポ・サイエンティストのアンドリュー・ディグビーさんのツイートなどから振り返ってみましょう。
今年の繁殖期は、カカポの保護の歴史上(といっても、ここ40年くらいです)、記録破りの大繁殖シーズンとなりました。
主なものは、こちらです。
卵の数が全部で252個! 冷凍庫横の「卵リスト」が世界的に有名に
Freezer, anyone? #kakapo #kakapo2019 #conservation #parrots #fieldwork pic.twitter.com/WwxPTHjf7D
— Dr Andrew Digby (@takapodigs) April 1, 2019
今シーズン、生まれた卵の数は、なんと252個! 無精卵も多いし(半分以上)、途中で死んでしまうヒナなどもいるのですが、すごい数でしょう?
今までのシーズンで最高記録は、2016年の122個でした。今回は倍以上ということになります!
フェヌアホウ島のレンジャー小屋の冷凍庫の横には、どのメスからいくつ卵が産まれたか、それが有精卵か(にっこりマーク)無精卵か(口がまっすぐマーク)、孵化したか(手足生える)、死んでしまったか(Xマーク)というリストが貼られていました。シーズンが進むにつれて、卵の数が増え、イラストがどんどん賑やかになりました。
これが全世界のカカポファンの間でかなり人気を集め、「あのリストのTシャツを作ればいいのに!」という声も出ていたほど。いや、欲しいですよ、私も!
孵化したヒナの数と、生き残っているヒナの数が最多
#kakapo @newscientist. Baby boom for the kakapo, New Zealand’s critically endangered parrot https://t.co/yUgzPP5gV6 pic.twitter.com/gO3yrn7gb5
— Dr Andrew Digby (@takapodigs) April 20, 2019
今年孵ったヒナの数は86羽、そのなかで生き残っているのは77羽です。
今までで一番数多くヒナが誕生したのは2016年。この年には47羽が孵り、32羽が巣立ちました。
ですから今年は、前回の大繁殖時と比べても、ほぼ倍の数のヒナが生まれ、育っているのです!
カカポは巣立ってからはじめて「成鳥」として大人の数に入れられるので、この77羽はまだ最終的な「今年のヒナの数」ではありません。みんな元気に育って、巣立ってくれるといいなあ。
今までで一番早く始まって、遅くまで続いた、長い繁殖期
This year may break the record of earliest and latest #kakapo hatch in a single season. Previous latest hatch: 17th Apr in 2002. Next latest = 12/4 in 1992, 2005, 2019. Last egg this year is due to hatch 19th Apr. #kakapo2019 #conservation pic.twitter.com/hX5t8oCe4x
— Dr Andrew Digby (@takapodigs) April 13, 2019
今シーズン最初のヒナは、1月30日に孵りました。今までで一番早く孵ったヒナは、2016年の2月16日でしたから、今までの記録より2週間も早く最初のヒナが孵ったことになります。
今シーズン最後のヒナは4月20日に孵りました。今までで一番遅く孵ったヒナは、2002年の4月17日でしたから、ちょっぴりですが遅く生まれたことになりますね。
そして、最初から最後までを考えると、今までで一番長い繁殖期でした。
このように長い間繁殖期が続いたのは、カカポに2回巣を作ってもらうためにした保護策のためなんですけどね。巣作り・子育て・そしてそのサポートチームのみなさん、お疲れ様です!
1回に5個も産卵したり、今期3回も産卵したメスが登場!
Solstice's third nest update: we candled her third egg today, and it's also infertile. So Stella-3-B-19 was the 86th and last #kakapo chick to hatch this year. #kakapo2019 #conservation #parrots pic.twitter.com/GKEBUcPKqN
— Dr Andrew Digby (@takapodigs) April 21, 2019
カカポのメスは、たいていは1回の巣作りで2〜4個の卵を産みます。ところが今年は、栄養状態が良かったのか、アンカー島のラーが5個も産んで、保護官を驚かせました。
もうひとつの驚きは、多くのヒナがそろそろ巣立ちの時を迎え、保護官などみんなが「繁殖期は終わって、最後の卵の孵化を待つばかり」と思っていた4月18日に、フェヌアホウ島のソルスティスが3回目の産卵をしたこと! ちょうどイースター直前だったので、「イースターエッグだ!」とみんな驚きました。ただし、卵を調べたところ、全て無精卵でした。残念!
まとめ
Before this year, few people alive had seen 3 #kakapo chicks in a nest. Now our team are experiencing it often, with 6 3-chick nests. Special to see Queenie with her chicks last night. Although she's a first-time mum, she's doing well with all 3 #kakapo2019 #conservation #parrots pic.twitter.com/fD67h2FHss
— Dr Andrew Digby (@takapodigs) April 5, 2019
このような大繁殖に至ったのは、カカポの繁殖を促すリムの実が大豊作だったこともありますが、その裏で、ニュージーランドの保護の歴史から生み出された様々な保護策があったからです。
この保護策やテクノロジーの進歩については、またゆっくり、お伝えしますね。
カカポのいっぱいいるニュージーランド、ますます魅力的な国になっています(←私見)。
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【4月25日 追加情報】
ヒナを育てていた養母カカポのHOKIが細菌感染のために亡くなり、世話をしていたヒナのうちの1羽も亡くなってしまいました。ですので、成鳥の数は146羽、ヒナの数は76羽となりました。ヒナは生後150日を迎えるまで、事故にあったり病気になりやすいので、「成鳥」の数には入れません。何羽が生き残ってくれるでしょう。できるだけ多く、元気に育って欲しいです。
【2019年9月 追加情報】
上記のHOKIや若鳥がアスペルギルス症などの要因によって、残念なことに何羽か命を落とし、2019年9月の時点でカカポの総数は213羽、うちヒナは71羽が生き残りました。これまで、1シーズンで生まれ、生き残ったヒナの数は32羽が最高なので、これは大変な記録です。
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