ニュージーランドの幼児教育教職課程で学んだこと 〜その4・幼稚園実習編〜

Kia Ora! ニュージーランドのうちだいずみです。

2022年3月から2023年5月にかけて、私はNew Zealand Tertiary College (NZTC) で、幼児教育教職課程 Graduate Diploma in Teaching (Early Childhood)を学びました。

私のとったプログラムは、Blended Learning という教授方法をとっていて、オンラインコースと幼稚園での実習、さらにブロックコースと呼ばれる集中コースを組み合わせたものでした。

この中で、オンラインコースとブロックコースについては既にお話ししました。

今回は、いよいよプログラムの要である幼稚園での実習についてお話ししたいと思います。幼稚園での実習は、ホームセンター実習とフルタイム実習の2種類に分けられます。それぞれどのような実習なのか、まとめてみたいと思います。

注:これは私の入ったNZTCの2022年〜2023年のプログラムに限定した話ですので、ご了承ください。

ホームセンター実習

入学準備編のところでもお話ししましたが、幼児教育教職課程 Graduate Diploma in Teaching (Early Childhood)に入学するには、すでに自分を実習生として受け入れてくれる園がなくてはなりません。この園のことをホームセンターと言い、ホームセンターには Associate Teacher (アソシエイト・ティーチャー)と言って、私の実習状況について学校と協力をしあって見守ってくれる先輩先生も必要です。

このホームセンターには、基本、教職課程をとっている間は毎週最低16時間勤務しなくてはなりません。これをCentre Attendance(センター勤務) と言います。

1年3ヶ月コースの教職課程をとっている学生のほとんどは、すでに幼稚園で仕事をしている人で、ホームセンターを持っているようでした。教員としての資格は持たないまま長い間仕事をしていたけれど、今回資格を取ろうと決めた、などと言う人が多かったです。

フルタイム勤務の人やパートタイム勤務の人もいました。そういう人は、ホームセンターからお給料をもらって勤務しつつ、勉強をしていました。

私はどうだったかというと、幼稚園で仕事はしていたのですが、実はリリーバー(臨時教員)として入っていたので、フルタイムでもパートタイムでもありませんでした。なので、学生をしている間は、16時間の勤務をしてはいましたが、基本無給でした。時々、正規職員の人が休みだったりすると、その時だけお給料をもらえました。なので、懐はとても寂しかったです・・・。

でも「このコースを1年3ヶ月頑張れば、資格が取れる! 学費と思えばよし」と貯金を切り崩して頑張りました。

時々、園に頼まれて、24時間とか30時間くらい仕事をしたこともありましたが(16時間以上は有給)、通常は週に16時間だったので、勉強や他のことをする時間も取れて、振り返ってみると、私には良かったです。同時期に同じコースを取っていたある友人は、園にフルタイム勤務で、しかも小学校の子供も2人いたので、「一体どうやって時間をやりくりしてるんだろう!」と本当に尊敬してしまいます!

ホームセンターでの学びは、基本的に幼稚園勤務全般について、実習生として学ぶ、と言うことだと思います。年間を通して通うので、1年の流れも分かり、自分の体力などについても分かりました!

フルタイム実習(Field Practice)

ホームセンター実習のほかに、4週間のフルタイム実習が4回、つまり16週間ありました。これを フィールド・プラクティス Field Practice(FP)と言います。

4回のうち、実習場所は次のようでした。

FP1:ホームセンター
FP2:ホームセンター以外
FP3:ホームセンター

FP4:ホームセンター以外

つまり、2回はホームセンターでしたが、他の2回はホームセンター以外の園に行っての実習でした。

ホームセンター以外の実習先は、基本的に、学校が探してくれることになっています。しかし、私の場合は、自分で行き先を探し、それを学校に提案して、許可を得て行くという形になりました。それは、私が行って学びたい園があったからです。

まず、FP2の実習先は、ホームセンターの先生のコネで、モンテッソーリ幼稚園に行きました。モンテッソーリ教育については、以前から興味がありました。その園ではアジア、南米、中東など、世界各地からの子供が半分以上を占め、多様な文化背景を持つ子供たちが、差別など一切なく付き合っているのを見て、これがニュージーランドの将来を作る子供達だな、と感銘を受けました。

FP4の実習先は、ダニーデン市内にあるシュタイナー幼稚園に行きました。ここは、私のホームセンターの姉妹園であり、娘が通った幼稚園であり、私が7年くらいリリーバーとして仕事をした園でもあります。

しかし、私は実は、シュタイナー幼稚園に行く気は全くなかったのです! せっかく他の教育哲学に触れる機会なので、レッジョ・エミリア系の幼稚園にアプローチして、実習させてもらいたい旨を伝えたのですが、余地がないと断られてしまいました。次に、ニュージーランドの主流派幼稚園を見ておくのがいいだろうと思い、公立幼稚園に4ヶ所アプローチしましたが、どこも余地がないと言われてしまいました。

そこでもう「しょうがないから、学校の選んだところにどこでもいいから行こう」と思っていたら、実習が始まる3週間前になって、学校から「まだあなたの実習先が決まらないんだけど、行きたいところはある?」というメールが来たのです。

たぶん、ダニーデンには幼児教育教職課程をしている大学と専門学校があり、たくさんの学生がすでにいろいろな幼稚園に入り込んでいるんじゃないかと思うのです。そして、私の学んでいるNZTCはオークランドに本校のある学校なので、ダニーデンにはコネが弱いのではないか、と。

もう、こうなっては仕方ありません。私はすぐにシュタイナー幼稚園に連絡して、実習させてほしいとお願いしました。すぐにOKが出て、決まりました。

もともと行くつもりはなかったけど、こうして教職課程を学んでから戻ってみると、これまでとは違う目で見ることができ、FP4もとても良い勉強になりました。それに、園の先生をほとんどみんな知っていたので、ストレスがなく、助かりました。結果オーライ!

フルタイム実習で学ぶこと

フルタイム実習は、ホームセンター勤務と違い、ただ幼稚園で仕事をすれば良いというものではありません。フルタイム習中に身につけるべきことが決まっているので、それに沿って勉強し、レポート等を書き、学校に提出します。

そして、実習の最後の方に、NZTCから教員が実習先に派遣され、実習の様子を見学して、Associate teacherと私との3者面談をします。面談後、Pass か Failか結果が出ます。

15の課題

フルタイム実習4回をしている間に、学ぶべき課題は合計15個ありました。それぞれの実習中に、その課題のうち4つずつ(最後だけは3つ)を達成しなくてはなりません。

その課題は、ニュージーランドのTeaching Council of Aotearoa New Zealand (アオテアロア/ニュージーランド教職評議会)が発行する “Our Code, Our Standards” の中の、Standards に関連するものでした。

Standards とは、教員に求められている教育基準を表したもので、6つあります。その内容をざっくり言うと、

★ワイタンギ条約に記されているパートナーシップの実践
★幼児教育のプロとしての教育に関する学び
★幼児教育のプロとしての子供、家族、同僚、コミュニティとの付き合い方
★敬意、協調、誰もが受け入れられる安全な環境など学びに適した文化
★カリキュラム、教育学、アセスメント等に基づいた学びのデザイン
★それぞれの子供にあった適切な教育

この6つの教育基準を満たす学生である、ということを証明しなくてはならないのです。

証拠となるもの

では、私の学びの様子を、どのように実証していくかというと、レポート等を書くことが大事になります。

例えば、”子供たちが安全で健康的な学びができるようにするためには、どのような教育戦略を取ればいいか” という課題があるとしたら、実習中に「園では安全に関してどのような規則と手順があって、それを私はこのように実践しました」という”証拠”(Evidence)を提出します。この”証拠”は、自分の回顧記録だったり、ラーニングストーリーという子供や親にもシェアするお話だったり、レポートだったりします。

1つの課題について、2つの”証拠”を提出する必要があるので、例えばA4 で2枚のレポートだとすると、4つの課題 x 2つ x 2枚 = 16枚ほどは実習をしながら書き、3者面談前には提出しなくてはなりません。

Associate teacherとの連携

実習前には、Associate teacher とよく相談をして、自分の課題に合うようなポジションに配置してもらうことも大事です。例えば、0〜2歳の子の保育に関することが目標に入っていたら、この年齢の子供たちと関わらせてもらう必要があります。

また、学びの内容に関しては、Associate teacherにアイディアをもらって、実践することもありました。例えば実習も後半になってくると、園の中でリーダーシップをとるということが課題となってくるので、Associate teacher だけではなく、同僚の先生全てに協力をお願いすることになります。

3者面談前には、実習を通して分かった学生(私)の強みと今後改善すべき点を、Associate teacher と学生がそれぞれ記して、面談用のレポートとして学校に提出しておく必要があります。

実習見学と3者面談

学校の教員は、あらかじめ面談用のレポートと、課題に関する証拠であるレポート等を読んでから、日時を決めて園を訪問します。

この時、私の実習の様子を見るのが30分、面談が30分、となっていますので、結構早く済んでしまいます。

私は緊張してもしょうがないと思って、普段通りに子供たちと過ごしました。まあ、それで落とされることはまずないと思っていましたし、もし落とされたら、よっぽど問題があると思います!

面談時には、幼稚園の仕事をするきっかけは何か、これまでに子供と接するような仕事をしてきたか、どのような信念を持っているかなど、どちらかというと課題には直接関係のない質問が多かった気がします。学校から派遣される教員は、だいたい毎回違う人なので、同じような質問が毎回ありました。

私の場合には、すでに過去にいろいろな仕事をしているので、その仕事から学んだこと、幼稚園で仕事をするきっかけ(私の場合は子供)、過去に行った子供に関わる仕事(幼稚園の臨時教員や、学校理事会への参加など)について話しました。の辺りは、学校に入る時の面談でも聞かれたので、自分なりにまとめておくといいと思います。

休み、体力、コロナなど

オンラインコースの勉強についてお話したときにも言いましたが、このプログラムは、夏休み以外は休みはありませんでした(夏休みは11月末から1月1週目まで7週間ほど)。そして、もし体調を崩すなどの理由でホームセンターで16時間働けなかった、あるいはフルタイム実習中に休んだ、などということがあったら、休んだ分を必ず埋め合わせなくてはなりません。

この休みの振替えがとても厳しく、例えば雪が降って園が休みになった時でさえ、翌週などにもう1日勤務しなくてはなりませんでした。

春休み、冬休み、秋休みのある幼稚園などではさらに面倒で、もし2週間まるまる園が休みだとして、その分の振替ができないならば、他の幼稚園を探して勤務すること、という厳しいものでした。

私の通っていたホームセンターは春休みも秋休みもなく、冬休みが1週間だけだったので、足りなくなった16時間を次の週に持ち越して勤務しました。

これは、たぶん Teaching Council of Aotearoa New Zealand (アオテアロア/ニュージーランド教職評議会)の教職課程の条件にしたがっているらしいのですが、実習と課題、ブロックコースなどが全て重なると、ストレスもあって、体力が限界に達したことが何度もありました。また、子供が持ってくる風邪などにもやられまくりました。

夏休みに入って、ようやく体力を取り戻し、さあちょっとお出かけしたりしよう、と思ったら、コロナにかかってしまい、結局休みは体力の回復のみに使い、なんとかコロナを克服したらすぐに実習とオンラインコースが始まってしまい、ががーんでした。

それでも、私は娘と旅行をするために1週間ホームセンターを休んで、その分次の週に振り替えて仕事をしたこともありました。この旅行中にも体調を崩て、オンラインコースや実習がぎりぎりなってしまい、キツかったなーと思いますが、娘との時間はもっと大事! 後悔はありません。

私の友人の中には、家族に不幸があって勉強どころではなく、オンラインコースの課題のひとつを落とした、という人もいます。しかし、課題を落としても、再提出することができるので、絶望する必要はありません。

また、どうしても課題の締め切りに間に合わないなどと言う時には、締め切りを延長することもできます。さらには、勉強ができない状態に陥った(病気が治らない、家族を見なくてはならないなど)場合には、しばらくの間休学することも可能です。私も、コロナの影響がひどくて課題の締め切り延長をお願いしたときに、学校から「休学したほうがいいんじゃない?」と言われましたが、とにかく早く終わらせたかったので、ちょっと無理しました。

基本、プログラム自体は厳しいですが、事情がある場合には学校に相談すれば何とかなります! もし、コースをとってみようかと考えている方がいたら、そのつもりで頑張ってくださいね!

まとめ(実習で本当に体験したこと)

今回は、幼稚園実習についてお話しました。ただ、これは実習→教職という観点からのお話なので、実際に子供たちと過ごす時間がすごく楽しかったこと、先生の指導のもとに子供たちが成長していく様子を見ることができて本当に感動したこと、子供たちの笑顔やハグに心を癒されたことなどは全く書いていませんね! なのでわあ、勉強大変そう・・・」と思われたかもしれませんが、実習の中で得られるものはもちろんそれだけではありません。

同僚の先生たちと仲良くなって深い学びを得たこととか、子供たちの家族と語り合うことができて新しい世界が広がったことなども、ここに書いていないので、最後になりましたが、「実習、楽しかった!」と言うことを記しておきたいと思います! 1年間、がっつり実習したので、教員としての自覚も格段に上がり、また自信もついてきました。いい時間だったなあ、と思います。大変でしたけどね!

次回からは、ニュージーランドの幼児教育教職課程をとって、私が学んだ内容について、少しずつ書いていきたいと思います。

それではまた! Ka Kite!

 

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