ニュージーランドの幼児教育教職課程で学んだこと 〜その2・オンラインコース勉強編〜

Kia Ora! ニュージーランドのうちだいずみです。

2022年3月、私はNew Zealand Tertiary College (NZTC) で、幼児教育教職課程 Graduate Diploma in Teaching (Early Childhood)を学び始めました。

入学準備に関しては、こちらに詳しくご紹介しました。

ニュージーランドの幼児教育教職課程で学んだこと 〜その1・入学編〜

私のとったプログラムは、Blended Learning という教授方法をとっていて、オンラインコースと幼稚園での実習、さらにブロックコースと呼ばれる集中コースを組み合わせたものでした。

そこで、このプログラムではどのくらいの勉強が必要なのか、またそのために私がどんな苦労をしたのか、今回はまずオンラインコース勉強編としてぶっちゃけお話ししたいと思います。あくまで私見です。そしてちょっと愚痴もこぼしちゃいます、すいません!

また、これは私の入ったNZTCの2022年のプログラムに限定した話であり、今年のプログラムとはすでに少々異なっています。それに他学校の同レベルプログラムを見てみると、かなり構成が異なっており、どんな勉強が必要なのか私には分かりませんので、その点はどうぞご了承くださいませ(教員資格を取れるプログラムなので、カバーしている内容はある程度共通しているはずだと思いますが)。

オンラインコース

オンラインコースの内容は、オンライン教材学習、必読資料の読み込み、ディスカッション、そしてアセスメントで1セットになっていました。

オンラインで学ぶコース(科目)は、1年間で9科目でした。この9科目は各々、約6週間で終えなくてはなりません。そして、1科目が終わると、すぐさま翌日に次の科目が始まります。1つの科目が終わるまで、次の科目にアクセスはできません。休みは夏休みの8週間だけです。

科目の内容は、以下の通りでした。

The Professional Early Childhood Teacher(プロの幼児教員とは)
Pedagogy for Infants, Toddlers and Young Children(乳幼児のための教育学)
Learning and Development in the Early Years(幼児期の学習と発達)
Tiriti-based Early Childhood Education(ワイタンギ条約にのっとった幼児教育)
The Early Childhood Curriculum(幼児教育のカリキュラム)

Planning, Assessment and Self-Review in Early Childhood Education(幼児教育における計画、評価、振り返り)
Inclusive Childhood Education(インクルーシブな幼児教育)
Teaching as Inquiry(探求型教育)
Early Childhood Teachers as Leaders(リーダーとしての幼児教育者)

内容に関しては、学校の著作権があるのでなぞって書くことはしませんが、全体として私が何を学んだかということについては、今後書いていきたいと思います。

オンライン教材学習

オンライン教材学習は、ネット上の教材にアクセスして、それを読んで学ぶという形で進んでいきます。ZOOM授業は一度もなく、ひたすら、自分ひとりで科目内容を学ぶことになります。1つの科目におよそ3〜5つのセクションがあり、それぞれのセクションに2〜7つのサイトページがあります。つまりざっくり言って合計20〜30ページほどのオンライン教材を読み進めることになります。中には、短い動画なども入っていることもあります。

授業内容は分かりやすく書かれており、このオンライン教材学習に関しては、私は問題はありませんでした。ただ、後述するアセスメントの中で、この教材の内容を引用することは「望ましくない」とされており、『せっかくうまくまとまってるのに、使えないのか!』というのが私は残念でした!

教材のところどころには、Journal という書き込みをするセクションもありますが、これは書き込んでも書き込まなくても、成績には関係ありません。

必読資料

それぞれのコースにつきだいたい15本くらい、コースに関連した必読PDF資料等がついてきます。内容的には、論文、雑誌記事の内容、教育省などが出している重要資料などさまざまです。3ページくらいのものから200ページ近いものまでありました。

これを読み込むのが私にはとても大変でした。私は英語力全般に関してはかなり自信があったのですが、学術論文ともなると読む速度が格段に遅くなってしまい、どう頑張っても1日に1本、難しいものになると2〜3日で1本しか読めませんでした(園での実習とかもあるので疲れてた)。それに、20ページくらい頑張って読んでも、結局「なんだ、大したこと言ってないじゃない」「つまらない」「アセスメントのエッセイには使えないな」というものだったりします。

終盤になって、同期の学生と話す機会があったのですが、彼女は「全体をささっーっと読んで、詳しく読むかどうか決めたわ」ということ。私にはそれが出来なかったので、めちゃくちゃ苦労しました!

読むのが遅いので、各科目に振り当てられた6週間のうちの最初の4週間ほどはオンライン授業と必読資料、さらには自分で探し出した資料・論文等を読むだけで精一杯。残りの2週間(下手すると1週間)でアセスメントとなるエッセイを書かなくてはならず、ホントキツかったです。この辺りに関しては、アセスメントのところでまた詳しく書きます。

オンライン・ディスカッション

このプログラムは、ローリング・エントランスといって、自分の好きな時に入学して勉強を始めることができます。ですが、たぶん奨学金のこともあってか、私の始めた週(3月の終わり頃)の前後数週間に勉強を始めた人が、おそらく40人ほどいました。

この同じ時期に勉強を始めて、同じコースを取っている「同期」の学生と、コース内容について「オンラインでディスカッションをする」というのが必須内容となっています。

ディスカッションページには、月毎に担当の先生がついていて、コースに関連した課題を出します。これに関して、自分の意見を述べたり、他の人の意見に対して建設的な意見を述べたりしなくてはなりません。アセスメントの時には、それをスクリーンショットに撮って、「私はこんなにディスカッションに貢献した!!」とその貢献したポイントを自分で書いて提出しなくてはならないので、「ディスカッションには参加しなくてもいいや」という訳にはいきません。

正直、このディスカッションは、面倒に感じることが多かったです。自分とは意見が違うなあ、というものもあったし、その内容に関して自分で言いたいことが見つからなかったりすることもありました。また「同期の人」とは言っても、名前だけしか分からず(最初にちょっと自己紹介はしたけど、多すぎて内容を覚えてない)、顔写真もついていないので、私には親近感を持てなかったんです。

それに、担当の先生のディスカッション運営の仕方も、人によって全く違いました。ある先生は、ものすごく丁寧に、アセスメントにつながるアドバイスをくれましたが、他の先生は、返事もほとんどくれないほどで、質問がある時には困ってしまうことすらありました。

そういうことも、回数を重ねていくうちになんとなく分かってきたんですが、基本「面倒だけど、ディスカッション内容は全部必ず読むべき」だと思います。なぜならば、アセスメントのアドバイスがどこに隠れているか分からないし、他の人の考え方が自分の意見をまとめるヒントになるかもしれないからです。

毎月のディスカッションの分量ですが、60通ほどの真面目で長めの投稿をしっかり読んで、できるところには長めにしっかり回答をする、ということが必要だったので、これもそこそこ時間がかかりました。

アセスメント

各科目ごとに、2つから4つくらいの課題を与えられて、6週間の間に全部書いてオンライン提出するアセスメントがありました。その内容は、1つ目は「ディスカッションに参加して、議論に貢献したことを証明すること」というもので、これは上記に書いた通りです。

もう1つ〜3つくらいあったのは、エッセイとか、レポートなどの提出です。課題によって500ワードから2500ワードくらいでしたが、このエッセイの「書き方」に関しては、詳しいガイドラインがありました。例えば「導入と結論は◯◯ワードで書く」「導入と結論は要らない」「1人称で書く/書かない」などの構成的なことも書いてありましたが、そのほかに必ず「必読資料とそれ以外に自分で自主的に読んだ論文等からの引用を入れること」と書かれていました。

つまり、オンライン教材で学び、必読資料を読み、それ以外にも出来たら自分で調べて、その全てを使って、コース内容に関係する内容をまとめなくてはならなかったのです。

私は、英文のライティングは結構慣れているんですが、全てフリースタイルでした。ずっとメディア界で仕事をしてきたので「文頭の掴みは派手に。それからググッとストーリーを引っ張って、最後は綺麗に」という書き方が普通だったんです。しかし、これは全く受け入れられませんでした。例えば「エッセイというんだから、園にある黄色いボートを内容の象徴として取り入れて、それを全体の内容に絡めよう」などと思って書いたら、その黄色いボートのところは全部ざっくりと「必要なし」とバッテンつけて返されてしまいました……。ここが私のオリジナルなところだったのに!

オリジナルでアートな文章が「全く必要ない」なんて。とほほ・・・。

では何を書くかと言うと、必読資料や他の論文などの「AやBがXXXXと言った。しかしCは〇〇〇〇と言っている。だからXXXXかもしれないし、〇〇〇〇かもしれないが、私はXXXXだと思う」みたいな感じで、ありとあらゆることを誰かの引用を持ってきて叙述しつつ、自分の意見らしきものを言う、と言う感じでした。

アカデミックな世界の方には当たり前なのかもしれませんが、私にはこれ、超絶つまらなかったです! 本当にフラストレーションが溜まりました。そして、これがアカデミックな世界ならば、自分はアカデミックには向いていなかったな、とつくづく思いました。

そうして愚痴を延々とこぼしながら、課題が書けない、書けないとうんうん唸っているのが毎回のことでした。

しかし実を言うと、課題で何を書けばいいのか、良く分からない」という状態が、6週間のうち5週間半くらいでした。教材や必読資料や他の論文なども当たっていたのですが、それでも「何書けばいいの?」というのが見えてこず、「えーい、しょうがないから書き始めるしかない」という、とほほな状態でした。

もう締め切り直前なので、仕方なく書いては消し、また書いては消して、書き終わるころにようやく「ああ、なるほど、こう言うことを聞いていたのね」と分かる、という次第でした。そして、書き終わった時にようやく「コースの目的がわかりました」という状態だったので、ホントーにキツくて嫌でたまりませんでしたが、やる意味があったんだな、と思っています。

ちなみに、理想的な書き方としては、内容を理解し、書く内容と構成を考え、構成に従って引用部分などを引き出していく・・ということだと思いますが、私には一度もそこまでいく余裕がありませんでした。情けなし・・・。

私のアセスメント対策(チート)

さて、アセスメントを書くに当たり、私の失敗対策、成功(?)対策もまとめておきたいと思います。

失敗対策

【1】内容を真に理解しようとして、引用文献のオリジナルを探して、そこからさらに考えようとした→時間かかりすぎ、混乱する。

最初のうち、論文などに出てくる文献(e.g. レフ・ヴィゴツキーの”Play and its role in the Mental Development of the Child”など)を全文読みたい、などと真面目に考え、サーチして沢山の文献や関連記事を大量に読んだりしていたら、時間がかかりすぎてしまい、自分で課題を書く時間がなくなったばかりか、どこに何が書いてあったかも分からなくなってしまい、「あれ、こう言う感じのことをどこかで言ってたけど、どこだっけ、どこだっけ?」と混乱状態に陥りました。何しろ、その時までには必読PDF+自分で読んだ論文等が50本くらいあって、その中のどこかの一節を探そうというのですから、無理な話。もう、大失敗でした。やる気はあったんですけどね〜。

その後、もう原典に当たる余裕はないということが判明したので、とにかく基本、必読資料として与えられているものから引用できるところを探す方向に転換しました。

【2】必読資料ばらばらにハイライトを引いたり、メモをつけるなどしていた→引用部分が分からなくなる。

上記と似ていますが、最初のうち、PDF資料などの大事なポイントにスクリーン上でハイライトを入れながら読み、ワードファイルにメモなどをとりながら、大事なのはここだな、などと思っていました。ところが、課題を書く時になって、引用したいところが探せなくなってしまいました。大量のPDFのどこに何が書いてあったかを探すために、Acrobat Readerで大量のタブを開いたはいいものの、どのタブが大事だったかも良く分からなくなって、全然使い物になりませんでした。全部プリントアウトすることも考えましたが、あまりに大量なので、私は一度してみたけれど、結局使いませんでした・・・

(↓これは私がコンピューターの内部で、どこどこ?と必死に探しているときのイメージです)

成功対策

上記の苦い失敗を経て、入学数ヶ月後からだんだんアセスメント対策も進化していきました。以下が私の最終的な対策でした。

【1】課題を最初に読み込み、ひとつのワードファイルにポイントを全部突っ込む。

バラバラのファイルにしておくと、どこに何があるか分からなくなってしまうので、ひとつのワードファイルに1科目の全教材・資料の中から「課題を書く上で大事かもしれない部分」を選んで、全部コピペして突っ込むことにしました。いや、正直言えば、課題に対して何を書くのかも良く分かってなかったので、とにかく「聞こえの良さそうなところ」を全部コピペしてぶち込みました。そうすれば、あとで例えば「Zone of Proximal Development(ZPD 発達の最近接領域)」などのキーワードに関連する資料を見たい時に、いつでも検索できるからです。ね、ZPDなんて、いかにも賢そうに聞こえるでしょう?(←そういう問題ではない)。言ってみれば、串刺し検索できるようなファイルを自分で作った、ということです。このワードファイルは、1科目につき100ページ以上になりましたが、検索機能を駆使して、引用箇所の取りこぼしがだいぶなくなりました。

たぶん、プリントアウトしておけば、目と頭でもこうした検索をできると思いますが、私はコピペ→検索でなんとかなりました。

【2】翻訳ソフトで全訳する。

告白しますと、プログラムの最後の4ヶ月、私は疲れ切っていました。コロナに罹り、体調がなかなか戻らず、その中でフルタイム研修がほぼ2ヶ月続き、その研修中にアセスメントも入り、と本当に肉体的にも時間的にも大変だったのです。

プレッシャーとストレスが物凄く、夜も眠れなくなってしまい、人生で初めて胃が痛くなり、目も疲れて論文を読もうとすると頭が痛くなる、ということも経験しました。

この段階で、私はもう決めました。とにかく終わることだけ考えて、チートしまくろう、と。

そこで、オンライン教材と必読資料を、できる限り全部 DeepLという無料オンライン翻訳ソフトを使って日本語に訳してしまいました。

いや〜、日本語だと早く読めること、読めること! ざっくり読んで、これはもう要らない、というものをサクッと判断することができました。そして、上記のようにひとつのファイルに日本語と英語で重要ポイントを全部突っ込む」こともしました。

私は実は「翻訳者」として長い間お仕事をいただいてきたので、こういうことを書くのはかなり恥ずかしいことです。しかし、私は英語の速読ができないんです。何度か挑戦したんですが、どうしても「音読の速度」くらいでしか読めません。それに対して、日本語ならばするするするっと早く読めるんです。

そういう私に、翻訳ソフトは5000ワードを1分もかからずに翻訳してくれます。もちろん、変なところもありますが、「ポイントを探す」ためならばこれで十分。おかげで、必読資料だけでなく、自分でさらに論文を探す時間もでき(これも当然自動翻訳した)、エッセイの内容をより良くすることができたと思います。

私は、これからの学会は、翻訳ソフトのおかげでぐっと世界が身近になるんだな、とつくづく思いました。学生のみなさんも、どんどん使えばいいと思います。もちろん、英語力は最終的には必要だと思いますが、ラクできるところはラクしましょう!

アカデミックサポート

私のように、アカデミックな勉強に慣れていない人のために、サポート資料もかなり用意されていました。オンラインコースが始まる前に、ドサッとまとめて「これを読んでおくように」と言われるので、その時点で量にビビりました。

例えば、引用の仕方(APA Reference Style という特定の書式法を使うように指定されている)、エッセイの書き方、用語、エッセイに使うと便利な単語集などです。

また、学校のサイトから、論文検索や本検索などができて、全部とは限りませんが、ダウンロードして読むこともできました。

学校の図書館サイトにもアクセスができ、実物の本を送ってもらって借りることも可能です。

Student Card という学生証も発行してくれるので、学割が効く場所もあります。私は1軒のピザ屋でしか使ったことはありませんでしたが、「ほらほら、学生だい」という顔ができるのは嬉しかったです。

まとめ

今回は、1年3ヶ月にわたるNZTC校の幼児教育教職課程のオンラインコースでどんな勉強が必要だったか、主に方法についてまとめてみました。

愚痴も大爆発してしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

英語で勉強って、ほんと大変だな、と今更思ってしまったんですが、このコースに参加している人の半分以上は、インド系、中国系、南米系、英語圏以外の欧州系など、ネイティブじゃない人だと思うんです(名前を見て判断)。なので、「私はネイティブじゃないから他の人より辛い」とは言えないんですよ、これ。

それに、もっと楽にできてる人も絶対にいます。聞いた話では、6週間のコースのうち、最初の2週間で教材と資料を読んで、次の1週間でアセスメントを終えて、残りの3週間は楽に過ごせた・・・と言う人もいるようでした。私も入学前には、そのくらいのペースで、と考えていたんですけどね。もう、全然無理でした!

でも、終了したときに「本当に心から嬉しい!」と思えたので、まあ、いいとしましょう(←)。

次回は、ブロックコース勉強編をお届けします。

それではまた! Ka Kite!

ちょこっとコラム 〜内田さん、何歳なんですか?〜

勉強しました、資格取りました! とSNSなどにアップしたら、「内田さん、何歳なんですか?」と聞かれたことがありましたので、お答えします。私が生まれたのは1964年です。資格が取れた時は、59歳ということになります。

ぶっちゃけ、3年のコースを取りたくなかったのは「この歳で3年も勉強するのはいやだなあ」と思ったからで、「まあ1年ならいっか!」と思いました。別に勉強に関しては「年齢は関係ないだろ」と始まる前は思っていました。

しかし! 実際に始めてみたら非常にキツく、いろいろと頭に入ってこないことも多かったので、「このキツさは年齢に関係してるかも・・・」と我が身を顧みたことをここに告白しておきます。とはいえ、訪問レクチャラーの人に「アセスメントが難しくて、時間が足りなくて、思ったよりもいい成績が取れないです」と相談したら「このコースは物凄い集中コースで、3年分を1年でするようなものだから、あなただけじゃないわよ。自分にもっと優しくして大丈夫よ」と言われたので、関係ないのかもしれません。結局分かりませんが、良かったら参考にしてください。

ちなみに、幼稚園では、子供に年齢を聞かれたら、
Older than a bee, but younger than a tree. (ハチより年上だけど、木よりは年下よ)
と答えています!

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