【ニュージーランド南島ダニーデン】オタゴ半島の自然が凄い!! 世界に注目される7つ(+)の理由

Kia Ora!  うちだいずみです。

私の住んでいる街・ダニーデンは、ニュージーランド南島の東海岸にあり、「ニュージーランド野生動物の首都」として知られています。

特にロイヤルアホウドリ(シロアホウドリ)、キンメペンギン、ブルーペンギン、ニュージーランドアシカ、ニュージーランドオットセイなどの希少な動物に会えるのが、市の南東部に伸びているオタゴ半島です。

2020年6月15日20時〜(再放送6月22日午前8時〜)には、NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」にて「ニュージーランド オタゴ半島 帰ってきたアシカ!   森で命をつなぐ」という1時間の特集番組も放送となります。BBCなど、世界の放送局もしょっちゅう取材に来ています。

オタゴ半島は、なぜ、そんなに注目されるのでしょうか。ここでは、オタゴ半島の自然が世界的に見ても特別である7つの理由をお話しましょう。

1)火山の大爆発が生み出した、豊かで美しい景観

オタゴ半島が特別になった理由のひとつは、その成り立ちにあります。

オタゴ半島と、オタゴ湾、そして湾を挟んだウェストハーバーと呼ばれる地域は、実はもともとひとつの火山帯でした。

この地方には少なくとも3回「どかーん」と大型の火山爆発があり、そのほかにも無数の「ぶくぶく」というような小さな爆発が起こっていたのです。

その結果、大きなクレーターが真ん中に出来て、そこが侵食され、海水が入ってできたのがオタゴ湾です。

オタゴ半島は、火山の壁の片側が残ったもので、海水に侵食されて、丘や多数の湾、干潟などのある入り組んだ形になりました。そのため、いろいろな動物たちに住みかを提供できるようになりました。また、様々な角度から違う景色を眺めることができ、とても美しいのです。

当時の火山活動の名残りはあちこちに残っていて、特によく分かるのはオタゴ半島の真ん中あたりにあるハーバーコーンという丘。

富士山みたいに綺麗なコーン型をしています。

このハーバーコーンにはハイキングで登ることもできますので、また詳しくご紹介しますね! 山頂からの眺めは最高なんですよ!

dunedinwildlife_nz インスタグラムより

2)吠える40度線のど真ん中! 「細長い指のような半島」

オタゴ半島は、長さが20km、幅は1.5km〜9kmと、「細長いごつごつした指のような」形をした半島です。

ダニーデンの街は、その指の付け根のところにあり、先端はタイアロア岬と呼ばれています。

下の動画を見てください(ちょっと手ブレしてますが!)。手前がウエストハーバー、奥がオタゴ半島ですが、真ん中(オタゴ湾)を挟んで、細長く続いているでしょう?

オタゴ半島をユニークな場所にしているのは、この「街と繋がっているけど、離れ島のよう」なところで、特に先端のタイアロア岬はロイヤルアルバトロスの繁殖地など、大事な場所です。

さらに、この半島のある位置も大事なんです。

ここは「吠える40度線」と呼ばれる強い偏西風のど真ん中、南緯約45度の地点です。北半球に置き換えてみると、北海道の最南端・宗谷岬よりも北という、極地に近い場所なのです。

そのため、南極圏・亜南極圏に住むさまざまな野生動物がやってきて、ここで子を産み、育てているのです。

3)世界で唯一、ロイヤルアルバトロスのヒナに会える

世界中でアルバトロス(アホウドリ)は22種類(IUCN認定)いますが、そのうちニュージーランドで見られるのは、なんと14種類。ニュージーランドは世界で一番多くアルバトロスが見られる国「アルバトロス・キャピタル・オブ・ザ・ワールド」なのです。

船で釣りなどに出ると、ニュージーランドでは普通にアルバトロスが飛んできますが、実は、本当に特別なことなんです。これも、風が強く南極に近い、吠える40度線のど真ん中にあるからなんですね。

そして更に「世界唯一」なのが、オタゴ半島のロイヤルアルバトロス・センターです。

オタゴ半島の先端タイアロア岬では、ノーザンロイヤルアルバトロス(キタシロアホウドリ)という世界でも最大級、翼を広げると3メートルというアルバトロスが繁殖しているのです。

ロイヤルアルバトロスは体が重いため、強い風の助けを借りながら飛び立たなくてはなりません。タイアロア岬は切り立った崖の上にあり、アルバトロスにとっては最適の地形をしています。

他のアルバトロスは全て、離島でしか繁殖していないので、街から車で行って子育ての様子を見るということは、ここでしか出来ないのです。ダニーデンの象徴としてロイヤルアルバトロスがあちこちに見られますが、それはこうした理由なんです。

みなさんもぜひ、このロイヤルアルバトロス・センターでぜひ、ふわふわのヒナに会ってくださいね! ヒナは、体重8kgにもなっちゃうんですよ!

4)アルバトロスやペンギン、アシカなどを育む海の秘密

ロイヤルアルバトロスをはじめ、タイアロア岬周辺には他の種類のアルバトロスや、ダニーデン周辺にしかいない固有種オタゴウ、渡りをするハイイロミズナギドリなどがいます。

なぜ、こんなに沢山の海棲動物たちがオタゴ半島に集まってくるのでしょう?

実は、オタゴ半島沖に深い海底渓谷があり、栄養分が集まっており、そこからオキアミなどが大発生、生態系の土台を作っているからなのです。

ムニダというコシオリエビの仲間   dunedinwildlife_nz インスタグラムより

この豊かな海のおかげで、その昔は毎年、ミナミセミクジラが子育てにやってくる場所だったのです。しかし、捕鯨基地ができて、あっという間にいなくなってしまったのですが(その話は詳しくまた今度)。

今は動物たちも殺戮から守られており、ミナミセミクジラやオルカがときどき姿を見せるんですよ! イルカたちも、ときどき遊びに来ています。

ダニーデンには、モナーク・ライルドライフクルーズ、あるいはポート・トゥ・ポート・ワイルドライフ・クルーズなどで、海上でロイヤルアルバトロスの飛ぶ姿を見ることもできます。滅多に出来ない体験なので、ぜひおすすめです!

5)絶滅の危機に瀕したキンメペンギンに会える

ペンギン・プレイスにて撮影 dunedinwildlife_nz インスタグラム

 

たくさんの種類が見られるのは、アルバトロスばかりではありません。

ニュージーランドは、世界18種類のペンギンのうち13種が確認されており、9種類は国内で繁殖しているという「ペンギン・キャピタル・オブ・ザ・ワールド」でもあるんです!

その多くは、亜南極の離島に住んでいるため、なかなか会うことはできませんが、ダニーデンでは世界で最も絶滅の危機に瀕しているキンメペンギン(イエローアイド・ペンギン)と、ブルーペンギンに会うことができます。

キンメペンギンは群れを作らないで生活するペンギンです。茂みの中で子育てし、1年中同じ場所に暮らしています。

しかし、人間が入ってきてから、生息地が徐々に失われ、外来種に襲われ、過剰な漁業によって食べるものが減り、さらに病気も入ってきて、ここ20年間で8割以上も数が減ってしまいました。

今、世界で最も絶滅の危機に瀕したペンギンの1種、と国連自然保護連合(IUCN)も認めているのです。

1980年代からペンギンプレイスキンメペンギン基金、自然保護省といった公私の団体が植林をしたり、外来種の管理をして必死に守ってきて、一時は数も回復したのですが、最近また激減してしまっています。多数の要因が絡み合い、野生動物の保護はとても難しいのです。

ダニーデンでは、ペンギンプレイス(ペンギン病院も併設)や、エルム・ワイルドライフツアーズなどのエコツアーが、ペンギンたちの住む海岸に連れていってくれます。ホントに、びっくりするくらい綺麗なペンギンですよ!

6)ブルーペンギン(コガタペンギン)の保護区もある

世界で一番小さく、鮮やかな青色のコガタペンギンも、特にタイアロア岬周辺に生息しています。

こちらは、キンメペンギンと違い、ブルーペンギン・プケクラという保護・観光施設ができて、巣箱を沢山設置して外来種管理をはじめたところ、「ここは安全だよ!」というメッセージが届いたのか、どんどん一箇所に集まって営巣するようになりました。

ブルーペンギンは、ゆるやかな群れを作って暮らすことが多いので、今ではタイアロア岬には500羽以上の大きな群れが子育てをしています!

夏の夜、ブルーペンギン・プケクラで待っていると、ペンギンたちがラフト(いかだという意味)を組んで現れ、一斉にぴょこんと上陸します! これは、見ていてホントに可愛いです! 夏はなんと、150羽を超えるペンギンたちが毎晩上陸してくるので、とても人気のスポットでもあります。

 

7)本島から絶滅したニュージーランドアシカが、唯一戻ってきたところ

 

ダニーデンでは、大型の動物たちにも会うことができます。世界で一番数の少ない希少なアシカ・ニュージーランドアシカが住んでいるのです。

ニュージーランドアシカのオスは、大きなものになると400kgを超える巨体。砂地の海岸でよく遭遇しますが、近づきすぎて邪魔をすると唸り声をあげながら突進してきますので、きちんと距離(最低10メートル)を置いて敬意を示しましょう!

ニュージーランドアシカは、かつて本島にたくさん生息していたのですが、19世紀にやってきた欧州からの猟師が、大量に殺戮したため、あっという間に本島からいなくなってしまったのです。

その後、ほそぼそと亜南極のオークランド諸島などで生き残っていましたが、1993年、なんと1頭のメスがダニーデンにやってきて出産をはじめました! そのまま毎年やってきて、今では小さい繁殖地が数カ所にできているのです。

ニュージーランドアシカは小さい森の中で子育てをします。繁殖場所には、人は基本入れないのですが、私は保護活動をしているニュージーランドアシカ基金のボランティアスタッフとして、何度か訪ねました。

観光で来た場合、一番確実に会えるのは、エルム・ワイルドライフツアーズに参加することでしょう。このツアーは、独占的にオタゴ半島のプライベートビーチにアクセスできるのですが、そこにニュージーランドアシカやキンメペンギンがいるのです。

日本のテレビが特集していますので、まだ見ていない皆さんのために、今はこれ以上のお話は控えておきますね!

そして、野生生物が生きていくのに欠かせない素敵な人たち

そして、オタゴ半島の自然が凄い理由として、最後にどうしてももう一つ付け加えたいことがあります。それは、野生動物を守ろうとしている人たちなんです。

絶滅の危機に瀕したたくさんの希少種。彼らを守ろうと、保護団体ばかりではなく、大学の研究者、エコツアーのスタッフなど、みんな動物たちをすごく大事にしていて、素敵なんです!

そしてもちろん、この豊かで美しい半島には、他にもニュージーランドオットセイ、固有種オタゴウなど、本当に沢山の動物たちが住んでいます。

オタゴ半島が世界から注目される理由、お分かりいただけたでしょうか?

今、ニュージーランド国内はコロナ感染が落ち着いていて、国内旅行も可能になりました。海外からは、まだちょっと待たなくてはならないかもしれませんが、いつか、ダニーデンの動物たちに会いに来てくださいね!

今日もお読みいただきありがとうございました。Ka kite ano!(See you again!)

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