ニュージーランド、コロナ対策の警戒レベルを引き下げ、ほぼ全面的にビジネス再開可能に! 

Kia ora! うちだいずみです。

厳しいCOVID-19対策を早いうちから打ち出し、その成果が出ているニュージーランド。5月11日(月)の午後開かれたジャシンダ・アーダーン首相の会見により、5月14日(木)よりコロナ対策の指針となっている警戒レベルを3から2へと落とし、ほとんどのビジネスを再開できる見通しとなりました。

ただし、まだまだコロナウィルスの脅威がなくなったわけではないので、厳しい条件もついています。

警戒レベル3の間の経緯と、警戒レベル2のニュージーランドがどのようになるか、まとめました。

警戒レベル3の期間のCovid19状況

警戒レベル2への以降は、警戒レベル3の間のCovid19状況が安定していたからできたこと。ジャシンダ・アーダーン首相が「病院の待機室」と呼んだこのレベルは、入院しているわけではないけど、一般社会に戻れるかどうか、しばらく滞在して状態を見る時期でした。どのような状況だったか、まず振り返ってみましょう。

少ない新感染者数

まだ警戒レベル4/ロックダウン中の4月19日以来、新感染者の数はずっと一桁を続けています。28日に警戒レベル3に入ってからも、数が増えることはなく、もっとも多い日で3件、新感染者ゼロの日も合計4日間、特にレベル3最後であるここ2日間もゼロでした。これは、大変に心強い数値です。

検査数のさらなる増大

感染者数が減った警戒レベル3の間も、政府はどんどん検査数を増やしました。そして「感染者のケアをしていたが症状はない医療従事者」「ちょっとでも風邪のような疑いのある一般人」「大都市等でスーパーマーケットなどに来るランダムな一般人」などに検査を広げ、症状がなくても感染している人を見つけると同時に、大きな市中感染は「ないという自信がある」と言えるまでになりました。

感染経路追跡センター

COVID19対策の要のひとつが、感染経路の追跡。電話を1万コールかけることのできる「感染経路追跡センター」を設立し、最高で1日185件の感染例に対処することができるようになりました。

ここのところ、新感染者の感染経路がすぐに判明しているのがとても重要な点です。その経路は、海外からの帰国者(2週間の隔離中)か、感染者との接触者(家、あるいは病院で)となっています。

WHOのテドロス博士によると、ロックダウンを解除する前に、各国は以下のことを自問すべきと言います。

https://twitter.com/KagiyaIzumi/status/1259985289818202112

ニュージーランドは、(1)の「感染をコントロールしている」と(3)の「感染者と接触者の追跡体制がある」ということはクリアしていると思います。

しかし、もともとニュージーランドの医療システムはギリギリで動いているので、(2)の「再び感染の第2波がきても医療システムは対処できるか」については、弱いところです。(1)と(3)を徹底することによって、第2波を避けるのが、これまでもこれからも、最大の目標と言えるでしょう。

いずれにしても、出来る限りのことをして、将来にも備えており、その成果が出たと言えると思います。

警戒レベル4(33日間)→警戒レベル3(14日間)で出来たこと

ニュージーランドでは、警戒レベルによって出来ることが限られています。どのような制限があったのか、確認してみましょう。

警戒レベル4(ロックダウン)で出来たこと

3月25日にはじまった警戒レベル4=ロックダウンの期間は、33日間続きました。この間、国民に許されていたのは、概ね以下の通りでした。

【ビジネス】
スーパーマーケット、農家、医療関係者、ケア従事者などエッセンシャル・ワーカー(食と医療など生活に最低限必要な事業者)以外は、全てのオフィスは封鎖。できる限り、リモートワークへ移行。
【人との付き合い】
3月24日夜の時点で同じ屋根の下にいた人同士は「バブル」と呼ばれるグループとなり、33日間はバブル外の人とは会わないようにする。もしたとえすれ違う必要などがあっても、社会的距離(2メートル)を保つ。一人暮らしの人は、同じく一人暮らしの人と散歩に行っても良いが、同じ人と行く。
【学校】
学校は閉鎖。授業はオンライン。
【アクティビティ/移動】
屋外で許されるアクティビティは散歩と自転車で、歩いていける範囲のみ。必要以外、車で移動しては行けない。

多くの人は、家族とだけの暮らしをすることになり、とても静かな毎日でした。

家の近所しか歩けないので、子供(と大人)が楽しめるようにと、多くの家では窓際にクマのぬいぐるみを飾り、「ベアハント(クマ狩り)」ができるようにしていました。可愛かったです! 

警戒レベル3で出来たこと

33日間のロックダウンの成果が無事に出て、4月28日から警戒レベル3となりました。まだまだ、厳しい制限のある状況で、「ケンタッキーフライドチキンがある警戒レベル4」(テイクアウトはできるけど、そのほかはレベル4と同じくらい厳しい)と言われていました。以下のような活動が許されました。

【ビジネス】
多数の人と接触しないでもできる「安全なビジネス」は再開してもよい。例えば建設業、自動車などの修理屋、人の家に行く電気屋、水道者など。レストランやカフェは、店で飲食をすることはできないが、注文をとってデリバリーをしたり、ピックアップしてもらう形での再開はできる。オフィスでの作業は、互いに社会的距離を保つことができ、除菌などを徹底するならば再開しても良い。ただし、できる限りリモートワーク推奨。
【人との付き合い】
必要ならば、少しだけ「バブル」を広げても良い。例えば、仕事に行くためのベビーシッターとか、ケアの人とか。あるいは一人暮らしの親戚とかは、自分のバブルに入れることができる。
【学校】
高校2年生以下で親が働いている子供達のみ、学校あるいは幼稚園等に行くことができる。しかし、基本はオンライン授業。
【アクティビティ/移動】
ローリスクのアクティビティならできる。車で近くの海岸や森に行って、散歩をすることができる。サーフィン、カヤックなど、モーターを使わない水上スポーツはしてもよい。釣りや狩猟も可。泊りがけのアクティビティはできない。また、どんなアクティビティも、「バブル」以外の人としてはならない。もし知人等にたまたま会っても、社会的距離をとっていなくてはならない。

移動がほとんど許されなかったロックダウン中と比べ、オフィスに行く人も増え、車通りも一気に増えました。ただ、対面式の店の多くはまだ閉まっており、空いている店もコンタクトレスでなくてはならないため、普通の生活とはまだまだ程遠い段階でした。

社交的なことはできませんが、車で海岸などに行くことができるようになり、楽しみがだいぶ戻ってきました。

カフェやレストランはオープンしましたが、店の中で食べることはできず、テイクアウトかデリバリーのみ。コンタクトレスが徹底されています。レベル3初日は、KFCやマックに早朝から長蛇の列ができ、話題になりました(そんなに食べたかったの?!)。

警戒レベル2で出来ること

ニュージーランドは、実は警戒レベル2であった時期が3月21日から22日の2日間だけありました。これは、コロナウィルスの感染拡大を防ぐ警戒レベルというシステムそのものを導入したときで、レベルごとの制限内容の表が発表されました。

しかし、5月11日に発表されたこれからの警戒レベル2は、この時とは状況が異なります。以前はウィルスをこれからコントロールするという段階でのもの。今は、コントロールした上で、経済などを再開していく出口戦略です。そこで、政府は新しい表を発表しています。

レベル2のポイントは、以下の通りです。

【ビジネス】
ほとんどのビジネスは再開できるが、社会的距離を取ること、除菌すること、店に来た人へ後からコンタクトを取れるようにすることなどが、基本的な条件となる。この条件を満たせば、ショッピング全般が可能。カフェやレストランは、3Sというルールが導入され、Seated(全員席につく)、Separated(テーブルは10人まで、テーブル間は空ける)、Single serving (1つのテーブルに1人の給仕がつき、何人もが行ったり来たりはしない)を守らなくてはならない。バーやクラブも同様だが、さらにリスクが高いということで、1週間おくれてビジネス再開できる。美容院・エステ・図書館・美術館・医院等も再開できるが、PPE着用を推奨。リモートワークができるところは、推奨される。ショッピングモール・映画館も再開できる。
【人との付き合い】
現段階では、10名までの集まりが可能。警戒レベル2が導入されたときには100名という制限だったが、段階的に人数を増やしていくことになった。葬式も10名までということだったが、特にマオリ族からの圧倒的な抗議があり、葬儀屋が適切な対応(社会的距離、除菌、葬儀のあとの飲み食いなし等)を取るならば、保健省に申請して、50名までは参加できるように変更された。
【学校】
幼稚園・保育園から小中高等学校、大学まで、全て再開される。ただし、除菌や社会的距離など、気をつけることはある。
【アクティビティ/移動】
国内の移動が全て可能となる。スポーツは再開できるが、基本10人までですることとなる。プロスポーツも、まずは観客なしで再開できる。モーターボートなど、モーターを使った水上スポーツ、カモ猟、スポーツジム、スイミングプールなども再開する。

それぞれの業界によって、かなり実際の施行は変わって来ると思います。また、正直、全体に「やってみなくては分からない」という感じですし、社旗的距離をとるとお客さんの数も減るので「営業しても黒字になるのか?」という疑問も残ります。

特に、ニュージーランドの大産業である観光業などは壊滅的な打撃を受けており、生き残れるか不明のところも多数(すでに閉鎖したところも多々あります)。

今度の経済がどうなるかは、実を言うと、警戒レベルが2になる同じ日に発表される政府予算次第です。ジャシンダ首相は、この予算は「Rebuilding together」(共に再建するための予算)としていますが、世界的にも、国内的にも、経済的に厳しい時期は続くと言っています。

予算の内容を、さらに注目していきたいと思います。

お読みいただいてありがとうございました。それではまた! Ka kite ano!

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