ニュージーランド、ロックダウン/全国封鎖からの出口戦略を発表。「排除できるユニークな立場にある」とジャシンダ ・アーダーン首相

明確な成果のあったロックダウン

Kia ora!  うちだいずみです。

全国的なロックダウン4週間が始まってから、22日目(4月16日現在)を迎えたニュージーランド。

当初は数千から1万人の感染がありうると考えられていましたが、嬉しいことにロックダウンの成果が明確に出ました。今日4月16日までに感染者数の合計は1401名、死亡者も9名(全員高齢者および既往症状のある方)におさまっているのです。

3月25日にはじまったロックダウンの期間中の1日の感染者数推移を見ると、一旦増えたものの、2週目中頃から減少に転じ、昨日の新感染者は15名。数日前より政府は「ピークを過ぎた」としています(下記グラフ参照)。

ニュージーランド保健省のサイトより、1日の新感染者数推移

 

ニュージーランド在住者は、まだ完全に安全とは言えないとはいえ、改善している状況に心からほっとしています。しかし、会社も学校もほぼお休み、経済的には苦しい人も日を追って増えています。この次の段階はどうなるのでしょうか。

来週水曜日(4月22日)に、当初予定されていた4週間のロックダウンが終わり、その後もロックダウンが続くのか、あるいは警戒レベルを緩めるのか、2日前の20日に発表されることになっています。

時期はまだ確定していませんが、将来的には警戒レベルを下げることになるということで(ビジネスサイドなどからの強い要望もある)、今後の見通しについて本日午後に開かれた定例の首相/保健省長官記者会見で発表されました。その内容をまとめてご紹介します。

「排除」を目指しつつ、慎重に次の段階へ

今日のジャシンダ ・アーダーン首相のスピーチは、ロックダウン前夜を振り返るところから始まり、ニュージーランドが世界でもユニークな立場にあったことが改めて語られました。

「3週間前、ニュージーランドはユニークな立場にありました。他国とは違い、COVID19が国に到達する前に十分な準備期間があったのです。これは、私たちに選択肢があったということを意味します。他の国のように、破壊的な波に打ちのめされる事態を許容することもあり得ました。あるいは先手を取って、厳しく素早い対策を選び、ロックダウンをして病の拡大を止めるということもできました。私たちは先手を取ることを選びました。そして、現段階では、成果があったと示唆されています」

 

そして、そこで選択した行動により、現在もまだ他の国にはない「選択可能」な立場にあるということ。

 

「警戒レベル4(ロックダウン)におけるニュージーランドのみなさんの団結した行動のおかげで、私たちは次のステップについても選択肢があるという希少な立場にあります」

 

この選択肢とは、最終的にどのような状態を目指し、そこへどのように向かうかということです。ニュージーランドは感染拡大状態によって警戒レベルを1〜4としていますが、警戒レベル3はまだまだ制限が厳しく、警戒レベル2はかなり緩やかになります。

ビジネス重視の立場の人たちからは、もう早く普通の生活近くに戻してくれ(警戒レベル2あるいはレベル1)、という要望も出てきていますが、ジャシンダ首相はこう言っています。

 

「私たちの基本的な経済戦略は、今も、ウィルスとの戦いに勝つことです。ウィルスを排除する(eliminate)ことです。これは長い間続く制約から早く抜け出して普通通りの生活をし、ビジネスも早く回復させるということを意味します」

「警戒レベルを動かす上で、一番避けたいのは、このロックダウンで私たちが勝ち得てきたものを投げさることです」

 

そのためには、むやみに規制を緩めて、またウィルスの感染拡大を許し、警戒レベルを高くするということを避けたいというのが政府の方針と見られます。レベル間を行ったり来たりはしたくない、一方通行で警戒レベルを落としていきたいという慎重策をニュージーランドは取っていくと思われます。

警戒レベル3は、病院の回復病棟にあたる

警戒レベル3がどのようなものか、ジャシンダ・アーダーン首相がこういう例を出して説明しました。

「(中略)私は最近、警戒レベル3を病院の待合病棟、あるいは回復病棟に例えました。これまでにしてきたことの効果があったかどうかを、待って確認しなくてはなりません。しばらくして、病の兆候が出なかったら、もうちょっと普通の生活に戻ることができます。これが警戒レベル2で感じられることですね。もし体調がまた悪くなったら、警戒レベル4のロックダウンに戻らなくてはなりません」

 

この警戒レベル3にいる間は、まだまだあらゆる分野で厳しい制約がある、というのが基本の考え方です。まだ「病人はじっとしていなさい」ということですね。

では、例えば警戒レベル3はどのくらい続くのか。そんな記者質問があり、それに対して、ジャシンダ ・アーダーン首相は「2週間、4週間」という単位を出してきました。確かに、感染した人との濃厚接触などがある場合は2週間の自主隔離をして症状が出るかどうか見る、という時間単位がありました。今後も、新感染者の感染経路次第で、どのくらいの広がりがあるかを、こうした時間ブロックを使って追っていき、確認するのだろうと思われます。

警戒レベル3、3つのポイント

今日の記者会見で語られた警戒レベル3のポイントは、3つありました。

1 バブルは保つこと。ただし、少し大きくしてもいい

警戒レベル4では、同じ家に住む人だけと接触することという厳しいルールがあり、このことをバブル(泡)と呼んでいます。シャボン玉の中に家族だけが入っている、というイメージです。

警戒レベル3でも、極力人と接触しないというのが基本。バブルは保って欲しいけれども「少し大きくしてもいい」ということです。例えば、子供の世話をしてくれる人(おばあさんとか)、パートナー、独身者だったら兄弟などは「同じバブルの人」として会ったりしてもいいということです。恋人同士もきっといいんじゃないかな!?と思います(←私の解釈ですが)。

2 必要不可欠なビジネス(食料・医療関係等)のみから、安全なビジネスのみ、営業可能に

社会的距離と清潔な環境を保つことができ、接触者を追跡できるビジネスは、再開が可能になります。

具体的には、林業、建築業、電気屋、水道屋など。しかし、レストランやカフェ、バーやショッピングモール、対面式の小売店などは、接触すると思われる人が不特定多数のため、まだ営業は禁止です。

ただし、電話やオンラインで注文を取って配達、あるいは店に取りに来てもらうというような形の営業は可能。食べ物の配達も可能になります。

3 幼稚園・学校等の一部再開

ニュージーランドには14才以下の子供は、必ず14才以上の人と一緒であることが必要とされています。仕事が再開されても、小さな子供のいる人などは子供を家に置いていくわけにはいかないので、働けません。

そこで、Year 10と言われる14才までの子供を対象に、幼稚園や学校は一部再開しても良いということが発表されました。ただし、家で親が一緒にいられる場合はできるだけ家にいるように、また幼稚園・学校等も小さなグループでのみ「幼稚園バブル」「学校バブル」を作る形にするようにということ。

これはかなり混乱を招きそうです。学校に行かなくてもいい子はそのままオンラインで、学校に行かなくてはいけない子は現場でというのは、難しそう。詳しいガイドラインは、また発表されるそうですが、いろいろと疑問が残ります。

レクリエーションなど

これまで、レクリエーションとして出かけられるのは「自分の家の周り」だけとされていましたが、「同じ地域の中」ならば、もう少し緩まりそうです。

例えば、これまで禁じられてきた海などで泳ぐこと、サーフィン、釣りなどは、それがひとり、あるいはバブル内の人とだけするのならば許可されることになりました。

しかし、ボートを出したり、ジェットスキーをするなど、モーターを使うものはまだ禁止。これは、モーターが壊れたりするリスクが高く、そこにリソースを使う余地はないからということです。

ただ、他の町に用もなく行く、などはしないようにということ。また、もし水泳という口実で海に友達同士でたくさん集まったりすることが目につくようだったら、「この条件は見直す」と言われています。

私は個人的に「車で森や海に散歩に行ってもいいんだろうか!?」というのが知りたいところなのですが、サーフィンが良しということは、車オーケーということですよね!? そうなると、社交的なこと(友達とご飯、グループで何かする)はまだできませんが、かなり楽しみが広がるんですが!

さらに詳しい情報やガイドラインは、政府のCOVID19サイトにあり、また足りない部分は追って発表もされるようです。また、今晩はジャシンダ・アーダーン首相がFacebook Liveでも記者会見と同じことをさらに親しみやすく伝えていますので、良かったら見てください(すでに87万再生もされていて、驚きました!)。

まとめ

ニュージーランド政府のCOVID19政策は、島国であることの利点を生かし、他国の例を参考にしつつ、科学的知見を可能な限り集めて、早め早めに動いてきました。しかしここからは、長期戦になるかどうかの境目となります。

経済サイドからのプレッシャーも増えて来るなかで、「排除」という大目標が達成できるのか。観光立国のその後はどうなるのか。まだまだ問題は山積みですが、誰も経験したことのないパンデミックの中で、「命」を最優先に進めてきたニュージーランドのリーダーシップが国民から信頼を得、世界からも賞賛を集めているのは間違いありません。

警戒レベル3になるのかどうかは、来週4月20日(月)まで分かりませんが、今は各自・団体・ビジネスが、レベル3になったらどう対応するかを準備する期間です。

最後に、ジャシンダ首相の言葉をもう一つ引用したいと思います。

私たちには、他のどの国も達成できていないことを成し遂げる機会があります。ウィルスの排除です。しかしそのために、私には、これからも500万人のチーム(※全人口)の協力が必要です。ロックダウンの期間に、ニュージーランド人は感染の鎖を断つ仮想の壁を作れることを証明しました。警戒レベル3に到達した時に、新たに使う防衛法は、「常識」です。ルールを守り、違いを信頼しあうこと。私たちならできる、と私は信じています。

 

ニュージーランド住民として、私も、ここまでCOVID19をコントロールしてきてくれた政府に信頼を置いています。そして、ニュージーランドなら、たとえ一時的にしても、排除ができるのではないかと思います(国境を開けるとまた入ってくるとは思う)。そのために、私自身も、できることはきっちり続けます!

おまけ

この記者会見、私は国営放送であるRNZ(Radio New Zealand)で聞いていました。会見がひと段落したあとに、なんとなくつけっ放しにしていたら流れてきた曲が、なんとEaglesの “Peaceful easy feeling” でした。

“I’ve got a peaceful easy feeling, and I know you won’t let me down”
「穏やかでリラックスした気持ちなんだ、君が私をがっかりさせないと分かっているから」

政府記者会見の後にこの曲を流せる国は、世界にどれだけあるでしょうか。改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

ニュージーランド政府やジャシンダ首相の関連記事はこちらです。

銃撃事件への対応で、ニュージーランド首相のリーダーシップが世界から称賛される4つの理由

ジャシンダ・アーダーン首相公認、イースターバニーは必要な仕事! NZ最大のイースターエッグハント始まる 

関連記事

  1. ニュージーランドの野生動物を守れ! 『Wildlife Rescue …

  2. 【ニュージーランド Lockdown 日記】 1日目 テディベア・タ…

  3. 美味しいブロッコリーを〇〇と分けた話(我が家の定番レシピ付)

  4. 【Photo tips】ライブハウスでの撮影のコツと編集例(基本編1)…

  5. 【ニュージーランド Lockdown 日記】 5日目 図書館で無料映…

  6. ニュージーランドで誘われるWorking Bee(ワーキングビー)って…

  7. 水星の太陽面横断とは? 250年前、ジェームズ・クック船長がNZに初上…

  8. 【ニュージーランド Lockdown 日記】 3日目 天の川、チョコ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。




最近の記事 おすすめ記事

著書・共著