知られざるニュージーランドの伝統工芸・マオリアート「トゥクトゥク」の美

ニュージーランドの先住民・マオリ族の伝統工芸としては、グリーンストーンのカービングや、フラックスという草を編んだもの、木や骨に彫刻をほどこしたものなどがよく知られていますが、実は他にも美しい伝統工芸があるのです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ 24/1000

Kia Ora!  うちだいずみです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ、24個目の今回はマオリアート「トゥクトゥク(Tukutuku)」の美と伝説に触れてみましょう。

本題に入る前に、この記事のきっかけとなった特別な日、”2月6日” についてお話ししますね。

2月6日(月)はニュージーランドの祝日・ワイタンギデーです。

これは、さかのぼって1840年の2月6日、北島のワイタンギという土地で、マオリ各部族のチーフとイギリス政府との間でワイタンギ条約が結ばれたことを祝す日なのです。

しかし、この時、マオリの人たちは英語をよく理解しておらず、そのつもりがないのに「ニュージーランド全土はイギリスの植民地になる」という条約にサインしてしまいました。

そのため、この日は殆どのヨーロッパ人にとっては「新しいニュージーランド建国の日」であり、マオリ人にとっては忘れられない、そして自分たちの権利を改めて見直す日となっています。

そのため、各地でマオリ部族が特別の集会を開き、ダニーデンでは、3つあるマラエ(Marae 聖なる集会所)のひとつ、オタコウ・マラエ(Otakou Marae)がオープン・デーを開催したのです。

マオリ人でないとなかなか入れないマラエ、私たちも特別に中に入らせてもらいました。

写真を撮ってもいいのかな、と思って聞いてみたら、「もっちろん、いいわよ!」と太鼓判を押してもらったので、幾つか撮らせてもらいました。

彫刻とか、建築とか、いろいろな見所があったのですが、実は私がこの中でものすごく心惹かれたのが、トゥクトゥクだったのです。

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トゥクトゥクとは、赤や黒に染めた細い横木を、アシなどの草で幾何学模様になるよう編み込んだ、伝統的な格子細工です。

主にマラエなどの内部の装飾に使われるのですが、私が今回見たものは、隣接する教会の内部にありました(マオリの人の多くはクリスチャンです)。

滅多にない機会なので、中も賑わっています。

そして私が注目したのが、これ!

なんて綺麗な細工!!

上に花が飾ってありましたが、これは説教台ですね。手仕事大好きな私は、一気に魅了されてしまいました。

壁にも細工があります。

調べてみると、トゥクトゥクのパターンはみんな何かのストーリーやメッセージを伝えているということで、名前も付いているそうです。こちらのリンクを参照しながら、よく見てみましょう。

これはおそらく、Dragon’s Teeth(マオリの川の神・タニファの歯 Niho Taniwha)というパターン。

これは、Poutama(ポウタマ)と呼ばれるパターンで、階段状のパネルが二つ合わさっています。この階段は、常に上へと向かう人間の成長、特に知的な成長を表しているとのことです。森の神タネ(Tāne-o-te-wānanga)が叡智のバスケットを得るために天に登っていったことを象徴する、という説もあります。

これは、パーティキ(Pātiki)あるいはパーティキティキ(pātikitiki)と呼ばれ、魚のカレイ/ヒラメの形を元にしたダイアモンドの形です。カレイ/ヒラメは必要なものが完璧に用意できることを意味しているそうです。カレイやヒラメが来る夜、男たちが寝ている間も、女たちは食べ物の確保を心がけていることを表し、夫や家族ばかりではなく、一族全体の豊かさを象徴するそうですよ。面白い!

これはおそらくムム(Mumu)という格子状のパターンで、マオリ族同士の連帯や結婚による結びつきを表しているものだと思います。

あと、こういうのもあったのですが(↓)、何を意味するのかは、調べてもわかりませんでした。鳥の足跡などもパターンとしてあるから、それかなあ? それとも、波の形かなあ? いろいろ想像しています。

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このトゥクトゥク、どうやって作っているのでしょう?

探してみたら、こういう図が見つかりました。

実は、このパネルの裏にはニュージーランドススキ(Toetoe)の細い茎が並べられていて、その茎に絡めるようにして編み込まれているらしいのです。

ただ、こんなパネルも見つかりました↓

これは機械で穴が開けられているように見えるから、モダンバージョンかな? 横木と言うよりは、溝状のパネル原木に草を編み込んだように見えますね。パターン練習用かなあ? 多分、伝統的な作りではないんじゃないかな、と思いました。

今、これを書きながらつくづく後悔しているのは、その場で聞いておけば良かった!ということ。せっかくのチャンスだったのに!

でも、現場では、このパネルにそんな深い意味があるとは分からなかったので、しょうがありません。

次にマラエに行く機会があったら、絶対に、もっといろいろ尋ねて教えてもらおう、と決意したのでした。

手仕事って本当に楽しい。でも、美しく作るには経験と技術が必要ですね!

お読みいただいてありがとうございました。Ka kite ano!(see you again!)

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