ニュージーランド最小の鳥「ライフルマン」は体重6g、森を軽やかに飛び回る緑の宝石!

Kia ora! うちだいずみです。

先日、私は娘とふたり、ニュージーランドで最もよく知られたグレートウォークのひとつ Routeburn Track(ルートバーントラック)を歩いて来ました。

今回は、この旅で出会い、私を超ハイテンションにした、ニュージーランド最小の鳥ライフルマン(Rifleman)をご紹介しましょう!

ライフルマンは今まで1度しか見たことがない憧れの鳥。ところが、駐車場を出てルートバーントラックを歩き出して間もなく4羽ほど現れ、最初の宿泊小屋のすぐ近くまで、何度もチラッとだけですが見ることが出来たのです! でも、小さいし、森の中は暗いし、ものすごく早く動く! 羽の生えたスーパーボールのようでした。

このライフルマンとはどういう鳥なのでしょう。私の撮影苦労話も交えてお話しますね。

1ドルコインより軽い! NZ最小の鳥はホントに小さい

Chris Gee/ Wiki commons

ライフルマン(Rifleman /  Acanthisitta chloris /ミドリイワサザイ)は、ニュージーランドで最小の固有種として知られています。体長7〜9センチ、体重6〜7グラムしかありません。

ニュージーランドの50セントコインが5グラム、 1ドルコインが8グラムなので、ちょうどこの間ということになりますね。ちなみに、日本の1円玉は1グラムなので、6〜7枚分です。軽い!

同じくらいの重さの鳥に、グレイ・ワーブラー(Grey warbler / Gerygone igata /ニュージーランドセンニョムシクイ)がいますが、グレイ・ワーブラーはちょっと尾羽が長いのです。こちらの写真で分かるように、ライフルマンよりもだいぶ地味な灰色の鳥ですが、歌声はとっても綺麗なんですよ!

Grey Warbler : Francesco Veronesi/ Wiki commons

ライフルマンの名前の由来は? 空飛ぶ緑の宝石とも言われます

こんな小さい鳥にしては、ライフルマンというのは過激な名前ですよね。

名前の由来は、植民地時代のニュージーランド連隊ライフル隊のユニフォームと羽の色が似ているから、というのが主な説です。

ただ他にも説があり、木の周りをぐるぐる周りながら虫を探すので、 “to rifle(螺旋状の溝をつける)” という動きからライフルマンと呼ばれるようになったとも言われています。

そして、この鳥のもともとのマオリ名は、tītitipounamu あるいは titipounamu(ティーティティポウナム、ティティポウナム)。

tītiti/titi  というのは「幻」、ポウナムというのはマオリ族にとって最も重要な宝石「グリーンストーン(翡翠)」を表すそうです。つまり、幻のように森の中を飛ぶ緑の宝石、ということでしょうか。こちらの名前の方がロマンチックですね。

このティーティティポウナムは、森の神タネのメッセンジャーであるとも言われています。森を素早く動き回る鳥らしい役割ですね。

皆に親しまれてきたライフルマン、1967年〜1991年に使われていた2ドル札にも登場していたんですよ。

卵の総重量は体重と同じ? ライフルマンの頑張り子育て

Buller, Walter Lawry, A History of the Birds of New Zealand / Wiki Commons

ライフルマンのオスとメスは、協力して子育てをします。

オスメスは、一見して見分けがつきます。オスはメスよりもちょっと小さくて体が軽く、体は緑色。メスは全体に黄色と茶色が混ざっていて、頭と背中には斑点があります。

実際に見ると、上記の絵よりも丸くて、羽が極端に短く見えます。

ライフルマンは1シーズンに2回まで産卵します。卵は1回ごと3〜5個産むのですが、卵の重さが1個につき約1.3g、メスの体重が約7gですので、5個産むと1.3 x 5 = 6.5 gとなり、なんと自分の体重と同じくらいになってしまいます。

どうしてこんなことが出来るか。秘密は3つあります。

ひとつは、1つ卵を産むたびに、メスは48時間、栄養をつけるために食べまくること。48時間後に2つ目を産み・・・という作業を繰り返して、全部産んでから抱卵を始めるのです。

もうひとつは、オスの協力。オスは産卵時期になると、自分の集めた食べ物のなんと4割以上をメスにあげるのです。

そして最後に、つがい以外の鳥の協力。ライフルマンは、Co-operative breeding (協同繁殖)、つまりつがい以外の鳥が協力して子育てをします。その年につがいを作らなかったオスが手伝うこともあれば、シーズンで先に巣立った若鳥が、自分の妹・弟にあたるヒナの世話をすることもあります。色々なパターンがありますが、それをつがいが受け入れているのです。

こうして、オスメスにヘルパーが協力して産卵し、抱卵、餌やり、子供を連れての自立の訓練などをしているおかげで、ライフルマンはニュージーランド北島・南島に広く生息しています。

実はとても古い仲間で、ゴンドワナ大陸からの生き残り!

ライフルマンは、分類学的に言うと、スズメ目イワサザイ亜目イワサザイ科イワサザイ属ミドリイワサザイと言い、ニュージーランドに固有のイワサザイの仲間で2種類生き残っているうちの1種類です。

もう一種類は New Zealand Rock Wren (ロックレン/ Xenicus gilviventris / イワサザイ)と言い、高山・亜高山地帯に住んでいます(今回、私もルートバーンの山頂付近で声を聞きました!)。こちらの写真が、ロックレンです。ライフルマンと似てますね。

Rock wren. by Francesco Veronesi / Wiki Commons

この2種類の鳥たちは、実は古い昔に他の種と分かれた系統で、トゥアタラ などと同様、南半球に1つだけ存在したゴンドワナ大陸の生き残りなのです。モアやキウイよりも昔から存在したと考えられているんですよ!

Wikipediaより

ニュージーランドのイワサザイの仲間は、かつて少なくとも6種がいたのですが、人間がやってきて住みかの森を破壊し、移入捕食者を連れてきたことによって、現在生き残っている2種以外は全て絶滅してしまいました。特に、飛べない鳥であった Bush Wren (Xenicus longipes)は、1972年に絶滅が確認された鳥。ニュージーランドで最も最近絶滅してしまった鳥なのです。ニュージーランド自然保護史の中でも、特に悲しい出来事でした。

生き残った鳥たちが、同じ道を歩むことがないように祈ります。

撮影に挑戦! でも、失敗に次ぐ失敗・・・

さて、せっかく出会ったのですから、できれば写真に撮りたい!

しかし、10数キロの荷物を背負って、小屋に向かって歩いている間は、なかなか立ち止まることができません。

そこで、いったん小屋(ルートバーンフラット)に到着し、落ち着いてから、来た道を戻りました。小屋の少し手前で群れを見かけたので、またいるかも、と思ったのです。すでに日は暮れかけ、森の中が薄暗くなっています。

歩いて行くと、「ジーッ、ジーッ」という小さな声がしました。いました! さて、撮影できるか!?

良いところに来た! と思ったら、もう動いちゃったり・・・。

よし、ピントがあった!と思ったら、また動き出しちゃったり・・・。

色々なものが多すぎて、肝心の鳥にピントが合わなかったり・・・。

森の中の撮影は難しいのですが、特に日暮れ時、小さな鳥、早い動きとなると、もうお手上げです。ISO感度は3200、なんとか動きを止められ、鳥らしい姿に撮せるギリギリのところ・・・。

「これは今回はダメだな・・・ここにライフルマンがいるのは分かったから、次にリベンジだ!」と考えていたのですが、家に帰って見直してみたら「これは・・・・ボケてはいるけど、私的に可愛いからいい!」と思える写真が何枚かありました!

まずこれ。

https://www.instagram.com/p/CKiXgPdAuXB/

まんまる〜! マンガみたいじゃありません? ふわふわで、羽の色がはっきりしていないので、間違いなくヒナです!

そうしてこちらも。

https://www.instagram.com/p/CKk5HAtA06V/

上のヒナよりは、羽が発達しているけど、まだまだプクプクしたところがヒナっぽい。もしかしたら、ヘルパーのお兄さんかな?と思いましたが、どうでしょうか。

可愛いライフルマンに会えて、本当に感激です!

ライフルマンにあなたも会える!

ライフルマンは小さいので、なかなか会うのも大変です。しかし、ウェリントンのジーランディア、オークランド沖のティリティリマタンギ島、ダニーデンのオロコヌイ エコサンクチュアリなどには再導入されていますし、生息範囲も幅広いのです。この生息分布図を参考にしてくださいね。

Michal Klajban/ Wiki Commons

地元の保護地区などのウェブページを見れば、ライフルマンがいるかどうか分かると思います。あとは詳しい人に聞いて、根気よくチャンスを待てば、あなたにも会える日がきっと来ます!

でも、本当に素早いし、小さいし、声も小さいので、よーく注意を払っていてくださいね。

最後に、こちらの動画で、ライフルマンの動く姿をご覧ください。予習して頭の中にインプットしておくことによって、サッと動いた影や、小さなジッという音を見逃さないようになりますので。

あなたも、この可愛いニュージーランドの飛ぶ宝石に出会えますように!

私のインスタグラム dunedinwildlife_nz では、他にもいろいろなニュージーランドの動物たちを紹介していますので、良かったらご覧くださいね!

それではまた! Ka kite ano! (See you again!)

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