気候変動のための学校ストライキで語られたこと。ニュージーランド3月編〜情熱・データ・学校の態度

2019年9月末、国連の気候行動サミットに合わせて、世界各国の学校でストライキが行われ、気候変動に対し政府や自治体、企業等の「リーダーたち」に即時の対策を求めました。

9月27日のストライキだけを見ても、学生ばかりではなく、共感した老若男女が気候変動デモに参加、全世界でなんと700万人が動いたのです。

ニュージーランドでも、9月27日にウェリントンで市人口の10%、ダニーデン で市人口の7.5%、全国的にみると、国民の3.5% である17万人が参加しました。これが世界的に見ても大きな動きであることは、国際的なニュースにも取り上げられました。

しかし、ニュースでは気候変動に対する学校ストライキ/デモの規模だけが取り上げられており、実際にはどのようなもので、何を語り、何をしているのか、内容をご存知ない方も多いのではないでしょうか。

9月のストライキは今年3回目。私は1回目から全参加しているのですが、回を追うごとに、実は参加者や主張、雰囲気が少しずつ変わってきているのです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ 66/1000

 

Kia Ora! うちだいずみです。

ニュージーランドの遊び方を1000個見つけるブログ、今回から、今年行われた3回の気候変動デモに参加して感じた、地元ダニーデンの気候変動デモの進化・深化をご報告します。

気候変動に対する学校ストライキとは何か

気候変動に対する学校ストライキ(School Strike for Climate。略して#SS4Cともいう)とは、「学生が学校を休んで、気候変動に対する対策を訴えるデモンストレーションを企画する/参加する」ということです。

金曜日にデモンストレーションをすることが多いので、未来のための金曜日(Fridays for Future。略して#FFF)とも言われます。

最近初めて聞いたと言う方もいるでしょうし、新しい動きと思われるかとも思いますが、実は2015年の国連気候変動サミット時に、すでにアフリカ・アジア・ヨーロッパなど世界各地の若者が学校を休んでデモをしています。

 

 

ただし、現在の世界的な学校ストライキ/気候変動デモの動きは、ひとりの少女の決意が生み出したものと言えるでしょう。

2018年8月20日。気候変動による未来を憂え、国の対策不足をスウェーデンのグレタ・トゥーンベリがたったひとりで「School Strike for Climae(スウェーデン語で)」と書いたプラカードを持って国会外に座り込みをはじめました。

 

 

間も無く、スウェーデンでグレタと一緒に座り込む学生が現れ、11月頃からオーストラリア、ベルギー、カナダ、オーストリア、ドイツ等の学生が自国でデモを始めました。

2019年に入り、動きの輪はさらに多くの国へと広がり、3月15日、5月24日、そして9月27日と、これまで3回に渡り、学生同士が国を超えて気候変動ストライキ/デモを連動。学生の枠を超え、大きな世界的なうねりとなったのです。

それでは、ニュージーランドの小都市・ダニーデンのストライキ/デモでは何が語られ、どんな変化があったのか、順を追って見てみましょう。

3月15日:ニュージーランドはじめての全国的なストライキと学校の態度

2019年3月15日(金)、ニュージーランドでは初めての、気候変動への行動を求める全国的な学校ストライキが行われました。

この時点では、まだグレタ・トゥーンベリのことも、世界中に広がっている学校ストライキのことも、それほど大きな話題にはなっていませんでした。

しかし、人口12万人のわが町ダニーデンでも学校ストライキをする!ということで、特に高校生の娘を持つ我が家は「なに、学校スト? ニュージーランドでもするんだ! どんなことするの?」と、大変に興味を持ちました。

娘の学校からは、メールでストライキに関しての連絡があり、そこにはこう書かれていました。

 

This is not a school run event and whilst we support students’ passion to raise awareness about the serious issue of climate change our preference is for students to remain at school in classes on March 15.

これは学校として行うイベントではなく、気候変動という深刻な問題に対して関心を高めたい、という学生の情熱は支援しますが、3月15日には学生たちが(通常通り)学校で授業を受けるほうが望ましいというのが学校の見解です。

 

娘の通っているローガンパーク高校(Logan Park High School)のシニアは、実は、ダニーデンの各高校や中学に呼びかけてストライキを組織した中心グループです。

それでも、高校の事務局は「学生は授業に出るのが望ましい」というのが基本的な立場でした。また、ストに出る学生は親の許可書を学校に持参すること、そうでないと「サボり」になるということでした。

娘は、家でプラカードを作り、参加する気満々。

私は(学校をみんなで休めるイベントだから、お祭り気分なんじゃなの?)と、その動機に関しては、ちょっと懐疑的でした。それでも、こうした運動に直接関われるのは、生涯にとって大事な体験になるだろうと思いました。

娘は「これは学生のストライキなんだから、お母さんは来なくていい」と言いましたが、「大人であっても、サポート参加は喜ばれるはず」 と、私も応援しに行くことにしました。

ぶっちゃけて言えば、我が家では「ストライキって何をするのか良く分からないけど、大事な問題だから、まずは参加してみよう」という感じでした。

1500人ほどが参加、学生リーダーが涙ながらにスピーチ

 

 

当日。蓋を開けてみると、娘の学校ではクラスの半分ほどが参加しました。学校全体で700人くらいいるので、数百人は参加したと思われます。

さらに、ダニーデンの他の学校ーベイフィールド高校、オタゴ女子高校、オタゴ男子高校、セントヒルダ高校、ダニーデン中学校、クィーンズ女子高校など、多数が参加していました。

最初に、町を練り歩くのですが、その経路は全部で1キロ半ほどでした。

写真を見てもらうと分かるように、ダニーデンとしては「ずいぶん集まった」感じで、15分ほどのマーチの間中、リーダーの声に合わせてこのように叫んでいました。

What do we want?  – Climate Justice! (僕らの望みは? 気候正義!)

When do we want? – Now! (いつ欲しい? 今すぐに!)

道沿いには、「なんだなんだ?」とマーチにびっくりしている人もいましたが、このために集まったと見られる大人も結構たくさんいました。特に、緑の党や、環境保護に携わっている人、あるいは政治問題に関わっている市民団体の人など、知っている顔もかなり多く見られました。

町の中心地に入ると、中心グループがまず、参加者に礼を述べ、次々と学生リーダーによるスピーチが始まりました。

私がすごいな、と思ったのは、そのスピーチの質。見るからにスピーチに慣れておらず、声を震わせてたどたどしく始める学生もいましたが、その内容は、全て最新の気候変動に関する信頼できる筋からのデータと所見、今後の予測などを科学的に踏まえたもので、聞き応えがあり、「このスピーチの準備に、ものすごく時間をかけて調べたんだろうな」ということが良く分かりました。

大人であっても、学生であっても、ちゃんと調べればインターネット上で多くの情報が同様に得られる時代。気候変動ストライキに関して「子供が何を言っている」というような批判をする声も聞かれますが、それは、実際に彼らがどれだけ科学的なデータを検証しているかを知らないのだ、とはっきり言えます。

メディアから流れてくる科学的データを引用するだけではありません。学生たちのスピーチは、特にダニーデンの市政とニュージーランドの国政に向けての具体的な提言を含んでいました。

参政権のない自分たちのアクションが、「ただのデモンストレーションにならないように」と、国会への提言となる定型レターも用意されていました。

私が、ひとつびっくりしてしまったのは、スピーチをしているリーダーや参加者の中に、今にも泣きそうになっている学生たちがいたことでした。グレタ・トゥーンベリのスピーチをネットで見ていると、「私は将来どうなるかが怖い」ということを話していますが、まさに同じように「これからどうなるのか、本当に怖い!」と叫ぶように語る学生もいました。

もちろん、全ての学生がというわけではなく、ごく少数ではありましたが、「こんなに身近なダニーデンの学生たちが、そこまで気候変動の影響を心配している」ということに衝撃を受けました。

不安や怒りの気持ちが良いことなのか、当然なのか、あるいはティーンならではの感情的な反応なのか、判断はできません。泣くほど怖い、というのは、私自身は完全に共感できる感情ではなかったのですが、「大人になってしまって鈍感なのかもしれない。本当にそこまで怖いこととして気候変動の現実を見直してみる必要があるのかもしれない」と思いました。

コール、音楽、そしてダイ・イン。ライブ感のある集会

スピーチの合間合間には、いわゆるシュプレヒコールが入ってきました(ライブで言えば「煽り」だな、と思いました)。それは、マーチの時からお馴染みになってきたこのフレーズ。

What do we want?  – Climate Justice! (僕らの望みは? 気候正義!)

When do we want? – Now! (いつ欲しい? 今すぐに!)

 

スピーチがひと段落したところで、学生バンドによる演奏がありました。気候変動や、自分たちの将来についてをテーマにしたオリジナルソングなどが披露されました。

 

 

 

そして、最後には、「ダイ・イン(Die In)」という、1分間横たわって「死んだつもりになる」プロテストが行われました。気候変動がこのまま続いたら、地球上の生き物はみんなこのように死んでしまう、ということを象徴した抗議です。

 

気候変動デモは、学生が自分で企画し、全ての手配を行っています。全体のトーンとして、真面目ながらも、若者らしいライブ感に溢れたイベントになっていて、オーガナイズ能力もすごいな、と思いました。

クライストチャーチの悲劇に埋もれた学生の主張

私のように、この日参加した大人たちは、実はこの学校ストライキを見て「次の世代が真剣に未来を語っている!」と超感動していました。私は写真もかなり撮影していたし、「今日中にストライキのことをレポートしてブログに書きたい!」と思っていました。

それが、半年以上も遅れてしまったのは、この同じ日、ストライキのちょうど終わる頃に、クライストチャーチのモスク襲撃という大事件が起こったからです。

もう、ホントに信じられない・・・と思いました。その時まで、ニュージーランドの未来、そして地球の未来を担う学生の熱意を感じ、ポジティブな思いでいっぱいだったのですが、考えられない事件。

ジャシンダ首相の対応のおかげで、ニュージーランドの希望は繋がりました。が、学生たちの情熱は、ニュースにはなったとはいえ、国内に大きはインパクトを与える機会を逸したのです。

しかし、学生たちはまた2ヶ月後には立ち上がり、2回目の学校ストライキを行います。そして、参加者や主張にも、広がりが出てきたのでした。

このことは、次回、またご報告しますね。お読みいただいて、ありがとうございました。

関連記事

  1. もったいないから使っちゃおう ニンニクの皮を使った庭仕事

  2. 2019年夏。ニュージーランドの飛べないオウム・カカポが大繁殖中! 

  3. ダニーデン名物・世界で一番急な坂道、またの名を内蔵破壊ストリート

  4. クライストチャーチの悲劇と気候正義の関係とは? 〜 気候変動のための学…

  5. 我が家のフラットメイト 鳥の巣を愛でる

  6. 水星の太陽面横断とは? 250年前、ジェームズ・クック船長がNZに初上…

  7. 男の子大興奮!?  ダニーデンの港でタグボートのお仕事拝見

  8. ヒナなんと77羽! 2019年カカポの大繁殖、その記録を総まとめ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。




最近の記事 おすすめ記事

著書・共著