ニュージーランドの野生動物を守れ! 『Wildlife Rescue (第3回)』飛べないオウム、カカポのヒナのお世話編

2019年は、ニュージーランドの野生動物のシンボルともいえる飛べないオウム・カカポが大繁殖しました!

その中で、ダニーデンにある野生動物病院ワイルドライフ・ホスピタルも、小さなヒナの世話や、傷ついたり、病気になった鳥たちの治療など、とても大きな役割を果たしました。

2019年11月に始まったTVシリーズ『Wildlife Rescue New Zealand』(ワイルドライフ・レスキュー・ニュージーランド/NHNZ制作NZ On Air協力ChoiceTV放送)は、ダニーデン野生動物病院を中心とした、ニュージーランドの動物保護の奮闘ぶりを紹介しています。ちょうどラッキーなことに、大繁殖期に取材クルーが入っていたので、カカポたちの様子もたっぷり出てきましたよ!

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Kia Ora! うちだいずみです。

ニュージーラドの遊び方を1000個見つけるブログ、TVシリーズ『Wildlife Rescue New Zealand』の放送内容を、制作会社NHNZ社の許可を得て、詳しく解説しながらお届けしています。

今日は3回目の放送内容から、野生動物病院の超VIP、カカポのヒナたちをご紹介しましょう。(ニュージーランド在住の方は、まだChoiceTVのオンデマンド放送を見ることができますので、ご覧くださいね!)

【過去のカカポ記事一覧】

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カカポのヒナたち、大移動開始! フェヌアホウ島から本島へ

ニュージーランドの飛べないオウム・カカポは、生息地が切り払われたり、人間が連れてきたネコやケナガイタチ、オコジョ、ネズミなどに襲われたことによって、1990年代はじめには世界でたった50羽ほどしか残っておらず、絶滅寸前でした。

しかし、離島にいた外来の動物たちを根絶し、鳥たちが安全に暮らせるようにしてから大事に守った結果、少しずつ数が増え、2019年の繁殖シーズンは147羽の成鳥とともに始まりました。

そして! この年は、生まれた卵が252個、帰ったヒナが86羽という記録的な繁殖年となりました。

『Wildlife Rescue エピソード3』では、その裏話を詳しく紹介。カカポが住む離島のひとつフェヌアホウ島(コッドフィッシュ島)からやってきたヒナたちを追っています。

カカポの繁殖地のひとつフェヌアホウ島は、ダニーデン南島のさらに南にあるスチュワート島の西に位置する小さな島です。ここに住んでいるのは自然保護省の関係者だけで、交通は船か、あるいは小型飛行機しかありません。

飛行場もないので、引き潮のときだけ、ビーチから発着することができます。

今日のお客さんは超VIP。しかも、少しでも早く目的地のダニーデンに届けなくてはなりません。

飛行機はインバカーギルの飛行場に到着しました。これから、街にある自然保護省カカポチームのヘッドクォーターへ向かいます。

こちら、ヘッドクォーター。街中の地味〜な建物の中にあります。

私もカカポのヒナに会ったときに行ったので、「あ、あのビルだ!」とすぐ分かりました。

大きな箱を持って入ってきたみなさん。大事な宝ものが入っているので、カカポチームのリーダーであるディアドレ・ヴィスコーさんが抱えています!

そして、バケツを持っているのはオークランド動物園の獣医師ジェームズ・チャタートンさんです。

箱の中身は・・・・カカポ玉! それも6個も、もこもこと・・・。

このカカポたちを受け取り、これから世話をしていくのが、ダニーデン野生動物病院の院長である獣医リサ・アルギラさんです。

生まれたてのヒナ、どうして移動したの?

この小さなヒナたちは、生まれてからほんの数日しか経っていません。それなのに、どうしてこのように大移動をしているのでしょうか。

実は、この年はカカポが大繁殖することが分かっていたので、大事をとり、生まれた卵は全て母鳥のもとから出して、人工孵化させていました。

そればかりではありません。母鳥のもとには、ダミーの卵を置いておき、無事にヒナが孵ってから母鳥の元に戻すこともありましたが、ダミーを置かない場合もありました。

そうすると、卵を失くした母鳥が、もう一度交尾をして巣作りしたのです! 卵の数は、これでさらに増えました。

しかし、その「失くした」卵たちは、実は元気にヒナになっているので、誰かが世話をしなくてはなりません。

その役目の一部を担ったのが、ダニーデン野生動物病院だったのです。

ヒナの餌やりは2時間おき!

このヒナたちは、生まれて数日という小さな小さなヒナなので、餌を2時間おきに与えなくてはなりません。

フェヌアホウ島からインバカーギルまでは飛行機で30分ほどですが、飛行場への行き来など、あれこれ時間が経っています。運ばれてきたヒナたちは、すぐにご飯の時間です!

カカポの扱いに慣れたベテランたちが、いっせいに給餌をはじめます。6羽もいるので、せっせと進めなくてはなりません。

そして、ただ餌をあげるだけではありません。オークランド動物園のジェームズさんが、「グッ、グッ、グッ」とゴリラのような低い声を出しています。

これは、母鳥が餌やりをするときの声を真似したもの。ジェームズさんが「鳴くと」ゴリラっぽいですが、こうした声で、ひなは落ち着いてくれるのだそうです。

「このヒナたちは、1日に自分の体重の60%もの食べ物をとるんですよ。僕に置き換えてみると、1日に50kg分も食べなくてはならないんです」とジェームズさん。

どんどん大きくなるはずですね!

インバカーギルからダニーデンへ

ヒナたちがお腹がいっぱいになったら、最終目的地のダニーデンへ向かいます。

インバカーギルからダニーデンまでは、車を飛ばせば2時間半くらいで着きます。しかし、ヒナの餌やりは2時間おきですから、ちょっとオーバーしてしまいます。出来るだけ早く到着しなくてはなりません。

リサさんは、大牧場の続くサウスランドを抜けて、急いでヒナたちをダニーデンに運びます。

ダニーデン野生動物病院は、ポリテクニック(専門学校)の獣看護師学科の一部を使って運営されています。

大丈夫かな? リサさんがさっそくチェック。これからは、リサさんとシニアナースのジーナさんが、カカポ担当になります。

ここは野生動物病院。病気を持った動物たちがやってくるところです。希少種であるカカポを他の病気に晒すことはできないので、ひとつの部屋をカカポ専用病棟にして、さらに手洗い・エプロンなどの防御もします。

お腹が空いているだろうカカポたちに、早速餌やり。

カカポの保護に10年以上関わってきたリサさんは、

「カカポは本当にクールな鳥よ。クシャっとした顔とか、グーグーいう声とかを聞くと、カカポが世界中の人の心を捉えるのも当然だと思うわね」

ホント、何か潰れたような、ちょっとカエルっぽい顔をしたヒナたちですね(^^)

それにしても、これからしばらくは、新生児のお世話を6人分するようなもの・・・いや、それ以上に「希少種」を扱う仕事ですから、大変です!

ヒナのお世話は夜通し続く・・・・

2時間ごとの給餌ということは、野生病院のスタッフは夜もお仕事を続けなくてはなりません。

このダニーデン野生病院、実は医師・ナースのスタッフがたった4名という小さな病院なのです。カカポ担当になったシニアナースのジーナさんがやってきました。

みんな元気にしてるかな?

すっかりお腹ペコペコなみたいですね!

カカポのヒナたちは、その体重によって、異なる量の餌をあげることになっています。しかし、見た目はそっくり! なので、頭にちょっとペイントをつけて色わけしています。銀色のペイントをつけてある子は「ディスコ・ダンサー」と呼ばれていました(笑)

そして、誰にどのくらいあげるかを間違えないために、スポイトにもヒナと同じ色をつけてあります。

ヒナに餌をあげるときに、オークランド動物園のジェームズさんは「グッ、グッ」と声を出していましたが、他にも大事なことがあります。それはクチバシの付け根のあたりをナデナデして、ヒナがご飯をねだる動作をするように促すことなのです。

こうすると、消化も良くなるし、ヒナも安心するのだとか。小さな羽をパタパタして喜んでいます!

「夜の時間は静かで、ここにいることが本当に嬉しいの。静謐な時間という感じがするわ」と、シニアナースのジーナさん。

こうした動物病院のみなさんの献身的なお世話があって、カカポたちも無事に成長していきます。

とはいえ、これからカカポたち、そして保護するスタッフにはアスペルギルス症という大難関が襲いかかります・・・それはまた今後の番組で出てくるはず!?

続きはまたお届けしますね。

Nga mihi, and kaki te ano! (Thank you and see you again!

【 Wildlife Rescueに出てきた動物たちの記事はこちら】

ニュージーランドの野生動物を守れ! 『Wildlife Rescue (第2回)』NZの新しい住民・ヒョウアザラシ編

ニュージーランドの野生動物を守れ! 『Wildlife Rescue (第2回)』もこもこ! カカの赤ちゃん編

ニュージーランドの野生動物を守れ! 『Wildlife Rescue (第2回)』キンメペンギンのヒナで大わらわ編

ニュージーランドの野生動物を守れ! TVシリーズ 『Wildlife Rescue (第1回)』徹底解説・キーウィ/アシカ/ケレル編

ニュージーランドの野生動物を守れ! TVシリーズ 『Wildlife Rescue (第1回)』徹底解説・キンメペンギン編

ダニーデンの野生動物病院(ワイルドライフ・ホスピタル)でカカポに会った話

 

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